第13話
ノークは子供だったこともあり、お咎めは注意を受けるだけで済んだようで
むしろ、両親のほうがひどく言われているようだった。
ひと悶着あった後、両親のノークを見る目はもはや違っていた。
それはまるで、異物を見るようなそんな目をしていた。
隼人はそれを察したように口にする。
「ノーク、俺たちと一緒に来るか?
ご両親問題ないか」
ノークの両親はもはや頷きもしなかった。
厄介ごとがなくなってくれるなら、そんな風に思ってるかもしれなかった。
「いこう、ノーク
ご両親お世話になりました」
隼人はそう言って頭を下げると、先だって歩き出す。
それに続いて相沢、ノークは、しばらく家と家族とを見つめると、何かを振り切るように
隼人たちの後をつけるのだった。
「よろしくね、ノーク君」
さっきまで難しい顔をしていたノークは、相沢に優しく話しかけられ、顔を赤らめ
少し不格好だけど笑顔を見せてくれるのだった。
「ノーク君、ご両親は……」
「あんな奴ら、親じゃないよ」
相沢の質問に、ノークはまた顔を暗くするのだった。
「親じゃないって」
相沢は、シビアな話だろうと思い、少し声を落として優しく話しかける。
「僕の話、何も聞いてくれない
それで怒ってばかりだ」
「そう」
聞いた相沢だったけど、もう何を言っていいかわからなかった。
助け舟にと、隼人を見るも、今はもう元の隼人に戻っていて
無表情のまま、トコトコと先を歩くだけだった。
「ノーク君、これからいっぱい幸せがあるといいね」
それがせめてもの相沢の言葉だった。
ただ、相沢は本心からそのように思っていた。
それを受けたノークはというと、また頬を赤らめ、笑顔を取り戻すのだった――――
◇
ノークは十分に罰を受けている。
両親から冷たく当たられ、それはおそらく、生まれつきのものだろう。
ノークのその性格から、それは推測するしかないのだけど、
親が自分を守らなかったゆえ、その反面教師、他を守りたいという強い気持ちが生まれたのかもしれぬ。
それは、過剰なまでの正義感から推察できる。
生まれつきの苦痛で僅かな歪みをおこし、
それが、友達の裏切りという形のトリガーで爆発し、
結果、許されないことをした。
その代償は、秤にかけられるものではないけど
三つ子の罪をどう問うかそれは個々の価値観にゆだねられるだろう。
ウサギはそう考え、頬を少し緩めた。
隼人、よくやってくれた。
~ 第一章 Fin. ~
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