最後のキミは夢
瀬谷このは
第1話
最後のキミは夢
7月8日、異常気象が発生していた。
連日の猛暑でプールや海水浴場は大繁盛。ニュースも熱中症の対策法や渋滞ラッシュで持ちっきりだった。
だがその日だけは違った。
朝、れんは体が震え上がる程の寒さに起こされた。異常な寒さだった。急いで窓を閉め、押入れに入れてあった羽毛布団を引っ張り出し包まった。指先の感覚は無くなり掛けていて暖まるまで頭が正常に機能しなかった。
少し寒さが和らいでくると毛布を体に巻いたまま階段を駆け下りた。1階で寝ている両親になんだかよく分からない気持ちをぶつけようとしていた。
だが、くまなくさがしてみたが誰も居なかった。時計を見ると時刻はまだ朝の5時過ぎを指している。両親ともいないということはありえない。仮に出掛けるとしても置き手紙置いていく人達だ。いつも怒鳴り散らして苛立ちをぶつけている親がこんな時にいないと途端に寂しくなった。泣き出したい気分になったが、一度に沢山の事が起こり過ぎて泣く事さえ出来なかった。
何が起きているのかとテレビをつけて見ると
どこの放送局に回しても砂嵐が発生しないるだけだった。外に出てみる事も考えたが、1年ぶりに出掛ける恐怖が勝った。
自分の部屋に戻り、スマホ起動したが、インターネットへ接続されなかった。なんどもやり直してくださいという文字が表示された。最後に忘れかけていたパソコンを起動させたが同じだった。途方に暮れたれんは窓の外を見つめた。窓を閉めるときは寒さから逃れたい一心で外を見る余裕などなかった。
窓の外に見えたのは....
どこかで見たことのある様な地獄の風景だった。
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