主人公の羽村さんは、ちょっとハードボイルド気分のアラサーだ。害獣の駆除を仕事として事務所を開いているが、いつも閑古鳥の巣で財布は寂しい。
あげく、相棒(?)のハムスター、ぽんすけ君が大食いなのでいつも家計は火の車。
そんな草臥れた系アラサー羽村さんが、「動物と会話できる」という特殊能力を活かして、人間に迷惑をかけている動物と折衝していくお話です。
一話読み終わるたびにほんわりします。
主人公を含めた、個性的なキャラや、主人公一人称を活かした独特な描写も魅力ですが、いちばんは全体に流れる空気が優しく、動物と人間の関わりについて真摯に考えてあることが伝わることだと思います。
ただの綺麗事、よかったね、だけの理想論ではないけど、着地する結末は優しい。
キャラたちも多彩だけど、全体を通じてなんとなく、作者さんの優しさというか、そんなものが滲み出ています。
媒体から言っても難しいかもですが、児童文学の棚にあっても違和感がない、良いお話です。
動物と会話できる能力を使って害獣駆除の仕事を請け負う、アラサーお兄さん・羽村さんのコメディーもの。
「駆除」とはいいつつも、動物たちと「対話」して共存をしていこうとする主人公・羽村の優しいところが、憎めないポイントです。ハードボイルドを気取るけど「ハーフ」ボイルドなところや、少しお人好しなところがある羽村のキャラクター造形は、読んでいて面白いです。
特筆すべきは、口達者な相棒のハムスター・ぽんすけや、家賃督促に現れる大家の孫・礼蔵くんとのテンポよいコメディパート。
キャラクター小説の掛け合いがお好きな方におススメの一作です。