ホームルーム
(満点?俺は筆記でそんなに取ったのか……)
まぁいいや、とテストのことは一旦忘れてウィレイクのことを見る。
「……なんだその目は。勉強しか出来ない癖にこのウィレイク様に逆らうのか?」
それはただこいつと目を合わせているだけなのにどうやらそれだけでも不満らしい。
「逆らうなんか一言も言ってないだろ」
「今俺に口答えしたな!平民ごときが貴族様に逆らうなど────」
ウィレイクの言葉を遮るように俺の後ろにある教室の扉が開いて長身の男の人が入ってきた。
「ウィレイク!またお前は喧嘩を売っているのか!」
「せ、先生……」
教室に入ってたのはどうやらCクラスの担任らしい。
「ったく……次はないと言ったはずだぞ?レイラク伯爵に報告するぞ?」
「こいつが!……いえ、失礼しました」
「はぁ、分かったなら座れ。チャイムまで少し早いが朝のホームルームを始める」
そういうとウィレイクは席に戻り、俺たちの会話を見ていた生徒たちも各々席に着く。俺は先生に手招きされ、横に立つ。
「ホームルームの前にこのクラスに入学生がいるので紹介しよう、エリック君だ。ではエリック君、自己紹介お願いできるかい?家名も一緒にな」
すごく意味深にそういうと先生は教室の端にある椅子に座った。
俺は再び早くなった鼓動を整えるように3回ほど深呼吸をして自己紹介をした。
「皆さんはじめまして。今日からCクラスになりました、エリック・ミラ・アウィーズです。あまり自分から話しかけるのは得意ではないので話しかけてくれると嬉しいです。よろしくお願いします」
俺は丁寧に心がけ、そして自分の家名を少し強調して自己紹介をした。
ウィレイクの顔を見ようと見渡すと教室の奥側の席の1番前にいた。汗を出しながら顔を真っ青にして。
とここで先生が立ち上がり教卓に立った。
「そういうことだ。エリック君はかの有名なアウィーズ様のお孫さんであり、リック侯爵のご子息である。この学園では貴族、平民に優劣はないの走っているだろうが、どこかの誰かみたいに権力を振りかざして人に当たらないことだな」
みんなの視線がウィレイクに刺さる。それに耐えきれなくなったのかウィレイクは立ち上がり、教卓の横まで来て膝をついた。
「……先程の無礼、お許しください。エリック様とは知らず数々の愚行、申し訳ありませんでした……」
ウィレイクの態度はさっきの行動が考えられないくらいに変わった。さすがに貴族貴族と言っていたので上下関係はちゃんと守るんだな。
「もういいよ。ただ、貴族と平民で差別するのは違うと思うからそこは直した方がいいと思う。特にこの学園では身分の差は無いしね」
「はい……」
「話は終わったな。ウィレイク、これに懲りたらもうこんなことしないことだな。それではホームルームを始める。エリック君はシェラさんの隣の空いている席に座れ」
俺の席はシェラの隣で、しかも廊下側の端の席だった。多分前学期で退学になった人の席だろう。
「えーっと、連絡事項は特にないな。ホームルームが終わったあとに始業式があるくらいだ。それが終わればもう一度教室に集まって明日の連絡事項を話して今日は解散だ」
最後にひとつ、と言って真剣な顔で話し始めた。
「恐らくこの4年間で最大の難関の1年生の1学期が終わったわけだが、無論退学の可能性は十分にある。まぁ調子に乗ってサボったりしない限りはないだろうけどな。気を緩めないように」
みんな頷いたり返事をしている。あのウィレイクもだ。
……ウィレイクって意外と良い奴なのか?
「おっと、そういえばエリック君には挨拶してなかったな。俺はノイアーだ。魔法学の教師をしている。Cクラスの魔法学も俺が担当するからよろしくな」
「はい、よろしくお願いします」
「よし、では体育館に移動するぞ。向こうに着いたら適当に1列に並べー」
俺たちは体育館に移動を始めた。
始業式は……うん。
何人かの先生が長々と話をして終わった。
感想は特にない、というか聞いてない。
ちなみにノイアー先生は結構大雑把な人だそうだ。始業式の途中に俺の後ろに座っていたシェラから聞いた。ただ、怒ったら怖いらしい。
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夏休み(2週間)きちゃー!
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