デモン帰還する

次の日

もうすぐ正午になる時間、俺は1人で自分の部屋の真ん中に立っていた。今日はデモンが悪魔界に会議に行ってからちょうど1週間の日だ。


「さて、デモンを呼び出すか。黒狼を召喚する時みたいな感じでいいのか?」


⦅おそらく大丈夫だと思います。っていうかマスター、昨日までデモンさんのこと忘れてましたよね?⦆


「そ、そんなことはないぞ……」


⦅嘘をつかないでください。昨日ルルさんに言われて思い出したんじゃないですか?⦆


「うっ……」


俺はかすみに図星をつかれて言葉が詰まる。確かに昨日の夜、ルルに言われるまでデモンのことは忘れていた。

…………デモンさん、マジすいません。


「そんなことより早くデモンを呼び出そう!」


⦅誤魔化さないでくださいよ、まったく…⦆


はぁというため息が聞こえた気がしたがきっと気のせいだろう。俺は気にしないようにしてデモンの召喚の準備を始める。


(黒狼と同じような感じで…………)


俺は右腕を前にゆっくり出す。すると床に半径1メートルほどの魔法陣が姿を現した。しかし、その魔法陣は黒狼を呼び出した時のようなものではなく周りに黒い稲妻がビリビリと走り、その魔法陣も漆黒に染まっている。俺は魔法陣の準備が完了したことを雰囲気で感じとり、召喚のために力を込めた。


「召喚、悪魔神デモン!」


そう唱えると魔方陣が黒く光り始め、それに反応するかのように稲妻が強くなっていく。そして、その稲妻が弾けたと思うと魔方陣の中心から|跪(ひざまず)いた悪魔、デモンが現れた。


「ただいま戻りました、ご主人様」


「おかえり、デモン。会議はどうだった?」


「悪魔界は普段と変わりないのですがこちらの世界が少々荒れているようです」


「そうなのか?別に普通だと思うけど」


「そのひとつはご主人様なのですが……」


「え、おれ!?」


「ご主人様のような力を持つものが現れて『至って平穏』と言うにはさすがに無理があるかと……」


「あー、うん。それはそうだな……」


「私が向こうに戻ったら帝王クラスの悪魔6人から問い詰められましたよ。いきなり神クラスの私が召喚されたとあってこちらに来たあと、悪魔界は騒然としていたそうですよ」


「なんかごめんな?」


「いえいえ、私としてはご主人様と契約できて嬉しいですし、そもそも神クラスの私と契約できるほどの者が現れるとは思いもしませんでしたし」


「やっぱりマリもだけど神クラスの精霊、悪魔と契約するのって結構難しいのか?」


「神クラスの精霊と悪魔も代替わりをするのですが契約主が現れずにその位を降りた方たちも少なくないほどですよ。精霊と悪魔、それにその両方の神クラスと契約しているご主人様は規格外だと思ってください」


「……まぁ、ふたりと契約できて良かった、ってことで」


俺は強引に話を終わらした。デモンにもため息をつかれたが気にしない気にしない。


「それともう1つ報告が」


「なんだ、そんなにピシッとして。そんなに重要なことか?」


さっきまでの雑談をしているデモンとは違い、真っ直ぐこちらを見つめて真剣な表情をしている。


「2ヶ月ほど前にネガル帝国が勇者召喚を実行しました」


「………………………は?」


────────────────────

お久しぶりです!1ヶ月半ぶりの投稿ですが、読んで頂きありがとうございます!

体育祭やら文化祭等が終わってバイトの方も落ち着いてきたので投稿再開します!

変わらず不定期投稿ですがこの作品をよろしくお願いしますっ!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る