新しい家族

筆記用具などを買い終えた俺たちは家に帰りってリビングのソファで寛いでいた。

新居のリビングは絨毯が敷いていて真ん中にソファ用の足が短い四角形のテーブルがあり、それを囲うようにソファが置いてある。

そしてドアの反対側、リビングのソファで一番奥には暖炉がある。今はまだ使っていないが。


「失礼致します、エリック様」


「し、失礼いたしますっ」


そんな声とともにリビングのドアが開いた。そこには住み込みのメイドの2人がいた。

初めの落ち着いている方が『イア』、続いて入ってきた子が『サクラ』だ。2人とも14歳で俺の一つ年下らしい。

イアは水色の髪の毛を後ろで1本に結んだ子ですごくメイドの仕事に慣れている感じだ。

サクラはショートカットで髪の色は桃色のあまりメイドの仕事には慣れていない感じの子である。

サクラはイアに教えて貰いながらメイドの仕事をこなしているらしい。2人とも膝下くらいまであるメイド服を着ている。


「紅茶をお持ち致しました。テーブルに置いておきますね」


と落ち着いてイアは言う。


「お、お菓子もお持ちしました!」


サクラは緊張した様子でテーブルにお菓子の乗ったお皿を置く。お皿には色々な形のクッキーがある。


「こちらのお菓子はサクラが作りましたので良ければ食べてあげて下さい。サクラはあんな感じですが料理はとても上手なので」


イアはサクラをフォローするように話す。

イアはどちらかと言うと紅茶を出したりなど主のそばに居るような仕事が得意らしい。対してサクラは料理や掃除など、裏方の方が得意らしい。

初めて会った時の自己紹介の時に聞いただけなのでまだ見た事はないがこのクッキーを見ただけでもう美味しそうだ。


「それじゃあ貰おうかな」


「ど、どうぞ!お口に合うかはわからないですが……」


俺は(恐らく)タマを模したクッキーをひとつ摘んで食べた。

サクッと心地よい音がする。その後にほんのりとしたバターの風味が口の中を満たしてくる。ちなみにタマは俺の膝の上でお休み中だ。


「ん!これは美味しい!みんなも食べてみたら?」


俺がそう言うとみんなクッキーを食べ始める。サクッと音がした後、全員がとろけた顔になり、食べ終えたら次のクッキーへと手が伸びていた。


「みんなにも好評だぞサクラ。本当に美味しいよ」


「お褒め頂き光栄でございます!」


「うん、そこは普通にありがとうでいいんだけどなぁ」


「いえ、さく……私はエリック様の従者、なので言葉には気をつけること、とイアから教わりました!」


「そんなにかしこまらなくてもいいんだぞ?2人とも。歳も俺といとつしか変わらないし、ルルとも4つだし………まぁほかは俺も歳は知らない」


恐らく3桁単位で生きているであろう3人に目線を送る。


「御三方はそんなに生きていらっしゃるのですか?あまりそのようには見えないですが……」


今度は少し戸惑った様子のイアが聞いてきた。


「ユイはエルフだから分かるかもしれないけどマリとりこは色々と……ね?」


「あっ……失礼致しました。御無礼お許しください」


「そんな謝らなくてもいいって。どうせそのうち言うと思うし。まぁでもそこら辺の生き物とは違うとだけ言っとくよ」


「はぁ……」


イアは少し戸惑っているがまぁいいだろう。サクラは話の内容がまず分かっていないのかそもそも聞いていないような気がする。


「それでは夕食の準備をしてまいります。サクラちゃん行きましょうか」


「はい!」


2人はキッチンに夕食を作りに行った。


夕食はビーフシチューだった。

ほとんどサクラが作ったらしいが本当に美味しかった。ちなみにおかわりの分はユイが全て完食した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る