第27話 ただいま

「...あれ、ここは?」


真っ白な空間。

自分以外に誰もいない。

キョロキョロと見回していると声が聞こえた。


「今、お前は“運命”の能力を手に入れた」


「誰!?」


サーバルが驚いて後ろを見ると黒いフードを被った人物が立っていた。


「お前の能力は1度だけ“運命”を変える事が出来る」


「それって...、つまり、何でもお願い聞いてくれるってこと?」


「その願いとやらが、お前の望む運命なら」


唾を飲み込み、息を小さく口から吐いた。


「...私達がきょうしゅうに戻ってくる日に戻して、博士さん達やほかのフレンズは能力を持ってない世界がいい、それから...」


サーバルは望む運命を口にした。


「よかろう。私は運命の能力者に付く

使者でしかない。お前の口にした運命の世界に変えてやろう...」


「ありがとう...」


その瞬間更に強い光にサーバルは包まれた。

























「あれ...、ここは...」


僕が目覚めるとそこは船の上であった。


サーバルもアライさんも、

なんとフェネックも全員寝ていた。


「カバン、オキタミタイダネ」


腕のラッキーさんが反応をしめした。


(あれ...、ラッキーさんごこくで...)


何か微妙に違う。

それに、僕らはトウキョウに居たはずだ


「モウスグ、キョウシュウニ、ツクヨ」


僕はその声でサーバルを起こした。


「んみゃ...」


「サーバルちゃん?覚えてる?」


「どうしたの...、かばんちゃん...

ってここは!」


「船の上だよ」


「どうしたのだ...」


「もう付いたの・・・?」


アライさんとフェネックも目を覚ました。


「あの、アライさん...、どこか遠くへ行った記憶、ありますか?」


「変な事聞くのだ...

アライさんはごこくが1番遠い所なのだ」


(アライさんは東京の記憶はない...

そう言えばリカオンさんは記憶を失ってって言ってた...)


色々な疑問があるが...、やはり1番手っ取り早いのはこれだろう。


きょうしゅうの港に船を付けて、

そして僕達は図書館へと真っ先に来た。


「博士さん!」


僕は内心ドキドキしながら呼んだ。


「誰ですかって...、かばんじゃないですか!!いつの間に戻ってきてたのですか...、でもまあ、島の長である我々に真っ先に挨拶するのは評価できますね」


「あの、能力を知ってますか?」


恐る恐る尋ねる。


「能力?何ですかそれは」


「じゃあ黒と白の本は...」


「そんなの知りませんよ...、大丈夫ですか?」


「ああ、なら、いいんです!!

あっ、そうだ、カレーを作ってあげますよ!」


「今日はヤケに積極的ですね...

ま、丁度お腹がすいていたので頼むですよ。助手も今呼んでくるのです」


(能力を知らない...

みんな元に戻ってる...

これが...、サーバルちゃんの能力なんだ)


「えっと、サーバルちゃん、取り敢えず

作るよ!」


「あっ、うん」


「アライさんもやるのだー!!」


「はぁ...」


フェネックが行こうとすると後ろから博士に肩を叩かれた。


「一体かばんに何があったのですか?」


「さぁね...、私もよく知らないんだ」


「まあ、後でゆっくり聞きますか...」


そう言って、図書館へと戻った。


カレーを作り、食べ終わり、一段落したあと、僕とサーバルはさばんなちほーへと向かった。


「そう言えば、サーバルちゃんの能力ってなんだったの?」


「私も途切れ途切れにしか覚えてないんだー。確か、“運命”とかって言ってた。それで、私何か言ったんだよね」


「運命...」



さばんなちほーへ辿り着いた。

落ち着いて帰郷し、真っ先に僕はサーバルちゃんの家へと行くことを提案した。


「えっとね...、ここ!」


と指差した先には誰か寝ている。


「あっ!!」


僕は声を出した。


「...あはは!よかった!」


サーバルは嬉しそうに言った。


「どういうことなの?」


「私の望んだ“運命”、思い出した!」


「へぇ〜...」


(運命ってこういうことなんだ...)


サーバルの住処にいたフレンズは目を覚ました。


「...ん、あ...」


「ごめんね、ここ...」


「ああっ!あっと、えっと、ごめんなさい!ついクセでっ!!」


「いいよいいよ!そこはあなたの場所だから!」


「えっ、ええ?」


「僕達はあなたの友達ですから!」

僕はそのフレンズに向かって笑顔を見せた。そして、こう口にしたのだ。








“アードウルフさん!”

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