Dream riders

あきカン

第1話 また、始まった。

 ふと、テレビの電源を入れる。そこには、毎年恒例の番組がやっていた。「毎年飽きずにTV局もよくやるな~」と思いながら、ついつい見ている自分もそこにいる。見ていて、なんだかモヤモヤしてきて違う番組をまた見ては、また変える。そんなごく一般的な大晦日が、あと5分で終わろうとしている。

 「ゆく年、くる年」は、欠かせない。この時間のカウントダウン、そして、左上の表示が0:00になる瞬間を、毎年ごくごく当たり前に見ては過ごす大晦日。そして、運命の時がきた。「3,2,1。明けましておめでとうございます!」新年が明けた。


 今回もまた、近所の神社に足を運ぶ。右手には、古くなったお守りを集めた袋をもっている。メガネが、マスクから出る息でくもる。視界が悪いなか、やっとの思いで神社に着いた。鳥居を抜けて、歩いて2,3歩だろうか、背中に気合を注入するどこぞやのボクシングジムの会長のような張り手と、

「あけおめ!あいからわずの猫背だよね。」

そうやっていつも余計な一言を自然に言ってしまう同級生の夢葉が、背後から声をかけてきた。身長は、女子にしては高い方だと思う。学校では、5本の指に入る可愛さだと言われている。

「今日は1人なんだ。寂しくて、どうせ独り言を言いながら来てたでしょ。でしょ?」

お前は、エスパーなのか?それとも、ストーカーか!?なんて心のなかで自分にツッコむ。あいからわず、見た目は、本当にかわいいのにもったいない。

「私も、一人で来たんだ。一緒に参拝しよ。来年お互い、受験生だし」

耳にタコができるぐらいに聞いたセリフだ。

 そうして、今年もまた、始まった。夢のような話が。

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