現代病床雨月物語 

秋山 雪舟

第1話 「地球外生命体との遭遇」 秋山雪舟

2015年3月○○日、私は自宅のマンションで眠っていました。深夜2時を少し過ぎたころだと思いますが、マンションのベランダの外がやけにうるさくて目を覚ましました。これだけうるさいのに横の妻が寝ているのは不思議でしたが毎日の家事や仕事で疲れているのだろうと思い起こしませんでした。

 私は、ベランダに出て外を確認しました。そうすると銀色で横の長さ5mで縦が3m程の円盤が浮遊していました。うるさい音はその円盤から聞こえてきました。私はしばらく円盤を見つめていましたが次の瞬間、その円盤からオレンジ色の眩しい光が私の方に向かってきました。私の体は急に全身が熱くなり意識を失いました。

 私が目覚めたのは、ドーム型の大きな手術室みたいな処で手術台見たいな台の上で全裸で横たわっていました。ドーム型の手術室の上の方には窓があり誰かが私を見ている気配を感じました。よく見ると丸いヘルメットをつけたような頭の大きな生物が窓1つに2匹ずつ私をみていました。私がそれを確認した途端に私の上にレーザー光線の様な光が4本の棒の先から発射され私の全身をスキャニングしているようでした。その後に大きな棒が出てきて先端から強力なオレンジの光が発射され私は再び意識を失いました。次に意識が戻った時、私の目、瞼がどう意識しても開かず何も見ることが出来ませんでした。

 しかし、私の脳に直接話しかける様に何かの力でメッセージを送ってきました。

 私がいるのは円盤の母船の実験室であるとわかりました。彼らは大阪の『太陽の塔』の形がどうも気になり調査に来たといいます。その『太陽の塔』を中心に周辺の調査を行いその膨大なサンプリングの一つとして私の人体も調査対象になった。

 彼らは、この星の文明力を調査する為に私を拉致して私の総てをスキャニングしたといいました。そう言うと次にまた目が開かないにもかかわらず強力なオレンジの光で意識を失いました。そして、私はそれらの事を忘れていたかの様にいつもの同じ時間に目をさまし平凡な一日がはじまったと思っていました。

 しかしこのことを思い出す出来事が現実となりました。それは会社の春の定期健康診断の結果によってです。私は、他の同僚と定期健康診断したにも関わらず私だけ結果が早く送られてきました。そこには、封書が別にあり掛かり付けの医師に渡すようにとあり、別紙で今回の血液検査の結果で白血球の異常な減少がみとめられるので医療機関に受診をするようにと書かれていました。これで私は忘れかけていた『あの夜の異常体験』を思い起こしたのです。それ以降私の体は白血球減少のまま今に至っています。私は、地球と日本の文明力・科学力を信じて必ずこの状況を克服する為にあきらめずに生き抜いて見せます。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

現代病床雨月物語  秋山 雪舟 @kaku2018

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る