まず第1話を読んでみてください。都会でも田舎でもない、スカイツリーが見える「東京・下町」という独特の空間。そこで暮らしている人の感覚で、町の情景がリアルに、とても魅力的に表現されています。
その下町を舞台とする「アラフィフ探偵」と少女たちとの「年の差四十歳の交流」を描いている作品です。
探偵と言っても、事件が起こるわけではありません(事件は作者さんの他の作品で起こっています)。主人公は自治体の仕事として、小学生の登下校時の付き添いをしています。子供たちは彼を「おじさん」「おじぃ」と呼んで挨拶したり、悩みを打ち明けたり。アラフィフ探偵は、その1人1人に温かいまなざしを向けていく……。
主人公には何とも言えない哀愁が漂っているのですが、その理由も少しずつ明らかにされていきます。
子供たちはアラフィフ探偵に見守られることによって元気づけられている。彼もまた子供たちにより日々癒やされている。他人であるはずの両者の間に生まれている父子のような絆に、ほっこりする作品です。