40.「お兄ちゃん、起きて、朝だよ」
「お兄さん、起きて下さーい」
ゆさゆさと僕の肉体をゆらす力によって僕は覚醒した。
「おはよう、お兄ちゃん」
「おはようございます。お兄さん。」
寝ぼけ眼の僕に二人は覗き込む様に顔を近づけて朝の挨拶をした。
「うん、おはよう。千尋ちゃん、千歳ちゃん。」
まだ眠気が覚めない頭で二人に挨拶を返す。
とりあえずは顔を洗おう。
僕は洗面所に向かい、顔を洗った。
洗面所から出ると、ちゃぶ台には食事が用意されていた。
「お兄ちゃん、朝御飯ごはんだよ。」
自称妹は手招きする。
「千尋さんは、朝御飯の用意もテキパキ用意するんだねー」
「や、その、お兄ちゃんと一緒に住んでて、食事担当だったから」
「あはは、良いお嫁さんになりそうだわー。女子力高ーい」
「へぇっ!?お嫁さ・・・」
顔を赤くする自称妹。
こいつ、いつも自称従兄弟にてきとーな事言われて顔を赤くしているな。
「さあさあ、メシにしよう。メシメシ。」
僕は早くご飯を食べたかったので二人を急かせた。
「「「戴きます」」」
三人で手を合わせて飯にする。
朝御飯は簡単な物だ。
味噌汁にさんまの焼き魚に簡単なサラダに目玉焼き。
しかし、独り暮らしで自分で用意するとなると、
こんな何品もオカズを用意出来ない。
てきとーに茶漬けか納豆にして、オカズも冷凍食品一品のみだ。と考えると、かなり贅沢な朝食である。
「いつも、食事の用意、有難うなあ、千尋ちゃん」
僕は素直な感謝の気持ちを表した。
「え・・・、そんな、私、お兄ちゃんの家の居候だから、当たり前の事しただけだよ」
照れてる自称妹。
「あははー、流石お兄さんの妹さんですねー!」
あはあはと自称従兄弟も自称妹を誉めている。
誉められて照れ困っているのか、自称妹は縮こまるように無言で俯いた。
「さあさ、食べましょうよ、お兄さんは通勤時間があるんだから」
自称従兄弟は僕を気遣って急かしてくれた。
パクパクと飯を頬張っていく。
旨い旨い。
「どう?、お兄ちゃん?」
「旨い、旨いよ」
そう言うと、自称妹はほっこりと微笑んだ。
その後は軽くシャワーを浴び、出掛けた。
出掛ける際
「「いってらっしゃい」」
と自称妹と自称従兄弟に送り出された。
いつもより、声が一つ増えて新鮮だった。
・・・いつも・・・か。
自称妹が居る事が『いつも』になってしまってるな。
きっと自称従兄弟の事も『いつも』になるだろう。
変わってしまった僕の通勤風景。
しかし、足取りは妙に軽いものだった。
「ああ、有難う。」
僕はちゃぶ台前に座った。
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