37.「いったー・・・いたた・・・」
自称従兄弟は自称妹に捕まれた髪を押さえている。
「ねえ、千歳さん、今、何をしようとしていたのかな?」
自称妹の目が爛々と光っている。
「えっとぉー・・・、千尋さんがやってた同じ事を・・・」
「私はそこまでやってない!」
「いたたたた!引っ張らないで!」
何かコントみたいな事をしている二人。
このまま眺めているのも面白いが、止める事にした。
「こらこら、千尋ちゃん、人の髪の毛引っ張らない。」
「あ・・・うん・・・。」
僕の注意に自称妹は素直に従った。
「じゃあ、どいてくれるかな?ちょっと苦しいし」
先ほどから胸が当たっていてね。
「えっーと、それはちょっと名残惜しいかなって」
「千尋ちゃん、もう一回髪引っ張って良いぞ」
「わー!ストップストップ!今すぐ離れますから!」
自称従兄弟は僕の体から離れた。
体を解放され、ようやく僕は上体を起こす、すると、横から激しい振動が僕を襲った。
何だ何だ?と振動の元を見てみると自称妹が僕に抱きついていた。
「おい、千尋ちゃん」
「・・・お兄ちゃん・・・」
「千尋ちゃん、ちょっと離れてくれよ」
「嫌だ」
ふるふると首を振る自称妹。
「あー!千尋さん、ずるーい!私も私も!」
また自称従兄弟も僕に抱きつく。
「お兄ちゃん・・・お兄ちゃん・・・」
「んー・・・ふふ・・・お兄さん・・・」
二人が力一杯抱きつくから息が苦しくなってきた。
「離れてくれ、苦しい・・・」
「・・・じゃあ、ちょっと、力を緩めたげます」
「・・・うん、お兄さん・・・」
と、まだまだ二人は僕を抱きしめて離さない。
「・・・離してくれない?風呂に入れないんだが」
「お兄ちゃん・・・暫く・・・こうさせて・・・」
「風呂浴びたばかりだろう。風呂に入ってない僕に抱きつくと汗臭くなるぞ?」
「じゃあ、また風呂入ります。一緒に入ります?」
「いやいやいやいや」
「大事かな?千歳ちゃん?」
「は、はい。大丈夫です。」
何?この子?積極的過ぎじゃないですかね?
「私、お兄さんと千尋さん以外誰にも見えないみたいですしね。だったら、結構大胆な事して良いかなって?誰も咎めないし」
そう言って自称妹は僕に胸を押し付ける。
「私が咎めるよ!」
自称妹は抗議する。
「ええー・・・そこは一緒に大胆な事に加担しましょうよ」
「大胆な事って・・・」
自称妹の顔がみるみる赤くなった。
「ええい!いいから離れてくれ!」
僕は強引に二人を引っぺがした。
もうそろそろ二人の体で僕は色々と大変になりそうだったのだ。
「僕は風呂に入るからな!入って来るなよ?いいかい?」
そう吐き捨てて風呂場に逃げ込みドアの鍵を閉めた。
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