~声~ 二人の少女の物語

@ItsukiOsaka040508

第1話 かき消された声(1)

キキーーー ガッシャーン

もうもうとたつ煙、漂う焦げ臭い匂い、逃げ惑う人々、サイレンの音、

私は一生忘れることは無いだろう。

「お父さん・・・?お母さん・・・?」

「ねえね?パパとママは?」

「海斗・・・」

「君達!危ないから早く離れなさい!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・







8年後・・・

ピピピピッ ピピピピッ カチッ

「・・・ん」

「月曜か・・・」

「紗綺ちゃん!ちょっと手伝ってくれる~?」

「今行く~」

私は学校の準備しながら叫ぶ。

施設でむかえるいつも道理の朝。ちびっ子たちの元気な声に頬がほころぶ。

「紗綺ねえはご飯とパンどっち?」

「ご飯がいーなー、凜はいつも偉いね」

「紗綺ねえ程じゃないよ。まだまだだもん」

「紗綺ちゃん、皿洗いやってくれる?」

「分かった~。凜、ちょっといってくるね」

施設の手伝いをしながら朝ご飯を食べる。

「紗綺ちゃん本当に助かるわ~」

「これぐらいやるよ~」

「弟がいなくなって寂しいはずなのに、皆の面倒見てくれて本当ありがたいわ~」

「海斗はちゃんと幸せになってるはずだから大丈夫!」

「そうだね・・・。おっと、紗綺ちゃん学校遅れるよ」

「わぁ!やばいじゃん!行ってきます!」

私は鞄とヘッドフォンをひっつかみ、夏の街へとびだした。



教室に入るといつもの顔ぶれが揃っていた。

「紗綺~!おはよ~!」

「おう四葉、やっときたか」

「四葉さん、遅刻ギリギリですよ。」

「おはよ、和葉、誠、圭」

「紗綺~今日は何聞いてんの?」

「今日はね~」・・・・・・・・


普段道理の会話、普段道理の景色、私はそれで満足していた。

あんな事が起きるとは夢にも思わなかった。



「今日は転校生を紹介する。」

先生がそう言ってドアを開けた。廊下から高級そうな髪飾りをつけた少女が入ってくる。

「天祥御影です。よろしく」

ザワザワ

「紗綺、天祥って日本の有名な財閥だよ。」

「へぇ~。そんなとこのお嬢様が何でこのただの公立中学に来たんだろう。しかも2年生から」

「ね~何でだろう?」

「こら、静かにしなさい」

シーン

「私は今回、この公立校の雰囲気調査と格差調査に来ました。これから一ヶ月間皆さんを調査させていただきます。」

「はぁ?どういうことだよ!意味わかんね~!」

「えっと、暁月誠くんでしたっけ。そうですね、例えばあなたのお父さんが勤めているのが○○商事で、お母さんは8才の時に病死、それから、、、」

「ちょっと!そんなに言わなくて良くない?!」

「伊達和葉さんですね。あなたは、、、」

「だからやめろって!」

「誠くんと和葉さんは何をそんなに嫌がっているんですか?貴方達の生活環境はそこまで悪くないでしょう?しかも近くに最悪な生活環境のひとが要るじゃないですか。」

「な!ちょっとあんたね!言っていいことと悪いことが分かんないの?!」

「四葉紗綺さん。6才で両親ともに事故死。弟と施設に入るがすぐに弟が引き取られ、一人になる。学費も存分に払えず修学旅行等は自主欠席。」

「・・・」

言い返せなかった。全部本当だったから。

今までずっと隠してきたものが全て知れてしまった。

「紗綺・・・。今の本当?」

「あ・・・うん・・・。」

「これだから貧乏人はいやなんですよ。自分のことを隠して最後までうまくいくと思ったんですか?勘違いも甚だしい。いいですか、よく聞いてください。」


あなたはここに居ていい存在じゃないんです。貧乏人という人間のクズが!















  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る