水晶界のマギアメイル・オムニバス - Memory Observer

鰹 あるすとろ

序章

観測 - Memory Observer -


 ◇◇◇




 ―――暗闇の中、ワタシは目覚める。


 辺りは一面の水中。


 だけれど、周りには魚等、水棲生物の姿は影も形もない。

 浮かんでいるのは無数の泡と、0と1。それだけだ。



 ここはどういう場所なのか。


 ワタシはだれか。


 そういった知識は、産まれる前から全てを身に付けていた。


 だからワタシはこれより、定められた業務を執り行う。


 創造者によって植え付けられた知識。その中に、ワタシがすべき使命も刻まれている。


 この水晶界クリスタリアに住まう水晶人種クリスティアンの、観測。


 それこそがワタシに課せられた命題であり、唯一の役目だ。


 <メモリーユニット・マクスウェル:起動スタートアップ。>


 <観測オブザベーション開始スタート。>


 さぁ、はじめよう。


 魔法を与えられた人々が、一体どのような暮らしを営むのかを観測し続ける、記録者オブザーバーとしての使命を。




 ◇◇◇



 ―――こうして、私の、そして水晶人種クリスティアンたちの長い長い旅路は始まった。



 その行き着く先が、どこかもわからずに。

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