よだかの模様の一部になって、変わり行く景色となる。

 人をじぃーっと見てしまう癖があり、この日もクラスメイトの子を見つめてしまった。素敵な赤色アイシャドーに、くるくるヘアーが似合ってる。口を開かない限り、綺麗な子。

「何っ?」

 イラッとしながら。けど、じぃーっと見ていた相手が私だったから、それを抑えようとして、強張った笑顔。あ、怖い。他の子だったら、ぶすっとした顔をして、怒り出すんだろうなぁ。

「ううん、赤貝みたいだなぁって」

 一生懸命、思ってもなかったことを口にして、笑わせようと必死になる。怖い。

「……ぁ、ありがとう」

 不思議そ。あ、そっか。

「綺麗だよ (自分の目元を指差し)」

 怖がってるところを見せないように、笑顔を見せる。怖い。怖い。怖い。

「あぁ」

 そうして、ばいばい。赤貝が振り向き、てくり。あーあ、怖かった。


 おじさんが退院した。嬉しくなって、紙で折った鶴とダチョウの写真を送った。「手先が器用だね」と返事が届き、秋景色の話に。

 写真、撮らないと。


 意味もなく買い物に出掛けたい。買う気もないニットを手に取って、体に合わせて、結局見ていたものと関係ないアイス買って、食べ歩いて、歩き疲れて、帰宅。

 BASI「愛のままに」fear. 唾奇を脳内でリポートしながら、街を歩き、夕方から雨が止んでしまって、持ち飽きた真っ白い傘を友人に渡し、食事をついばみ、消化を行なっているパンケーキについて思い出しながら、濡れていないベンチを探す。どこでもいい。なんなら知らない人がたくさん住んでるマンションのエントランスでも、芸術的な気持ちになりながら食べてもいいし。歩きながらでもいいし。

「これはいわゆる現実逃避である」

 友人に言った言葉をここでも、記す。


 ベリーも美味しい。抹茶も美味しい。けど、甘ったるいもんを食べて、インスタに乗せて、きゃぴっとしているOLみたいにしようと思ったけど、思っていた以上にお腹空いていたみたいで、ありがと。

 クランベリー農家にならなきゃね。それか、ラズベリーがいい。(私が好きだから)


 謝られるのも、感謝されるのも、苦手である。いつも通り、いつも通りにいこうぜ、なろうぜ、笑おうぜ。


 おやすみ、世界。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る