ご機嫌ようの、数分前。

 男にフラれて、女友達に身を寄せる子をSNSで眺めて、つまらなそうに漫画を読む手を止める。ぱらり。友人にどれだけ「キングダム」がかっこいいのか見せるため、事あるごとにキャラの戦闘シーンをスクショして、送る会。通信制限で送るのが、ワンテンポ遅れてしまうのが寂しくて、ああなんて日かなって痛み出した頭を抑える。

 明日はバイトへ行かず、治ったと思い込んでいる体で友人に会う。ああ、なんて日かな。明日は雨じゃなくて、晴れとなんかよく知らないけど、曇りのイラストが描かれてあったから、きっと意味もなく晴れるだろうと思い込む。思い込む。思い込みの力。わいは思い込むことによって思い込んでしまったんじゃ! 意味のわからなキャラを演じる。


 ういー。


「眠る」という行為は好きだけど、起きて家に誰かがいることが嫌で、きっと「起きる」行為が億劫になっているのだと、自覚する。起きる。おきる。眼を覚ます。テメェは頭を冷まして、腹に残らない草でも食ってろ。今日も晩ご飯を作った。三日連続。俺はなんだ。「風邪を引いても、誰かが家にいることを喜びなさい」なんて言われても、一人でいる時と変わらないように思えてしまう。忠義を壊せ。友人と一緒にいる方が、楽しいお年頃。まだ、釣りたての魚みたいに、新鮮な子だぞ、ばーか。私、魚座。


 外でなぜか、花火の音がした。


 真っ黒に設定させた、緑色のアプリが、まるで夜空みたいに見えて、私、預言者か何か?夏、こういう素敵なことが起こるって知ってて、真っ黒にさせたのかよ、天才!ってアホなことを考えたけど、実際はただ、夜にタイプするとき、真っ暗やみの中では、色付きは眩しすぎるから、《ブラック》にさせてるだけだって、言い聞かせて「花火」と暇人と送り合う。送るたび、キャラクターが変わっていくのが、オモチロイ。先生からもらった「夜は短し歩けよ乙女」を読み返す。そんな夜を無駄遣い。


 今日、セミが背中に止まった。ぶぉおん。


 わいの名前はぁ、紅蛇ぃ。紅色に染まったぁ、蛇ぃ。「うみ蛇にょろ子」に名前変えようかなとか思った、今日。思いっきり、変わってしまうから誰にも認識されない気がして、やめたけど、どっかで使いたい。ゲームのアカウント名にしようかな。それとも、ツイッターでのみ、変えるとか?なんでもいいや。ウミヘビになりたいなぁ。にょろにょろ、あの大きな海を泳ぎたい。にょろにょろ。わい、ウミヘビなんだ。ほら、太ももに縞模様。消えかかってる、縞模様。若さゆえ、なんだ。どこかの歌手が言った、言葉。(多分、椎名林檎)


 私の人生、ほのかに林檎の香りがしたらいいのに。それか金木犀に似た、暖かな優しさ。優しさに包まれたい。文字越しではなく、物理的に、包まれたい。早く、春になってほしい。雨が降った夏は、さむい。短パンから剥き出しにされている生足が、「さむいよぉ」ってないている。虚しさ。


 定期的に友人が私をjkだって忘れてるから、送ったメール。


 jkよ

 忘れんな

 儚いjk

 虚しさいっぱい、胸に咲かせていますの。


 以上。

 卒業したら、制服は脱がないとダメで、どれだけ憎んでいたとしても、二度と着ることは無いんだ。もう、教室で先生の横でぼーっとパソコンを弄ることもできなくなって、先生のお洋服を「かわいい」っていうことも、ないんだ。私はなーんだ。私はなーんだ。ちゅうとはんぱな、せいかつかん。不健康なのは、どっちだばーか。いつもおこって、ないて、めをまっかにさせて。ばかなのよ。もう、ねるべきなのよ。


 これから寝る人に、素敵な夢を。

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