第326話 獣装機攻ダンクーガノヴァ(2007年)

 さて、今回の作品『獣装機攻ダンクーガノヴァ』(以下ノヴァと略記)ですが、これは実際に見た方は少ないんじゃないかと思います。というのも、これ何とCS放送「アニマックス」のオリジナル作品でして。CS放送に入っていないと見ることができなかったんですよ。Wikiによると2014年にKBS京都で地上波放送されているそうですが、リアルタイム当時は地上波放送が無かったんです。ただ、まあ当時の商売方法としてDVDはすぐ販売されていたので、レンタルDVDとかで見た方が多いのかもしれません。


 私は当時、CS放送で「アニマックス」と「キッズステーション」には入っていたのでリアルタイムで見ることができました。全十二話を書かさず見ています。ただ、その割には話が結構記憶に残っていないという(笑)。


 全体的な印象で言えば、まずまず面白かったと思います。「詰まんねえ!」と切ったりするような作品ではありませんでした。ただ「これは面白い!」と絶賛するほどでもなかったという。


 同じ大張作品だと、前に書いた『銀装騎攻オーディアン』に比べると面白かったという評価になります……って、スタッフ見てみたら脚本家が首藤剛志じゃん! うん、マシなわけだ(笑)。


 さて、本作は『超獣機神ダンクーガ』のリメイクではなく、続編になります。ただ、設定上二百年後の世界なので、前作キャラは出てきませんし、あまり設定上のつながりもありません。


 主役ロボである「ダンクーガノヴァ」(これも以下ノヴァと略記)はベースの変形合体は元のダンクーガと大差ないですが、左足がサイ(ライノス)になっています。合体後にもビーストモードっぽいパワーアップ形態「ゴッドビーストモード」になります。さらに、二号ロボの「R・ダイガン」と合体して「ダンクーガマックスゴッド」になります。


 このR・ダイガンですが、最初は「赤いダンクーガ」として謎のライバルロボ的な立ち位置で出てきてノヴァと戦いますが、最終的には味方になって一緒にラスボスと戦います。


 ただ、このラスボスも「オリジナルダンクーガ」って名前でダンクーガっぽいんですよ。敵も味方もダンクーガばっかり(笑)。


 実はノヴァって、本来の建造目的は「地球の全生物のDNAを保存して他惑星に脱出する」ことなんです。強力な外敵の存在が予想され、それに人類を含む地球の全生物が滅ぼされても何とか他惑星に命を残そうという目的で建造されたんですよ。そこだけ見ると、イスカンダルから波動エンジンが届く前の宇宙戦艦ヤマトと同じような建造目的なんですね。


 まあ、最終的にはその「強大な外敵」をぶっ倒しちゃうんですが(笑)。


 なお、最初に「謎のロボ」として戦っていたときには、ノヴァは地球各地の地域紛争に介入して「負けている方」に常に加勢していました。それだけ見ると「弱きを助け強きをくじく」ヒーローっぽいんですが、実は目的が「紛争を長引かせるため」なので全然正義じゃないという(爆)。


 ただ、これは「強大な外敵が来るまでに世界大戦規模の大規模な戦争を起こさないために、あえて地域紛争を続けさせる」という目的があったそうです。


 この「地域紛争に介入するロボ」というのは、同じ2007年の後半に開始となる『ガンダムOO』とも共通しているのですが、『OO』の方が「紛争を根絶するため」に介入しているので、『ノヴァ』とは目的が真逆だというところが面白いなあと思ったりしました。


 そして、ロボの戦う目的として「地域紛争」が出てくるということ自体が、2007年頃の世界情勢を反映しているんですよね。


 さて、キャラの方に目を向けると、パイロット四人のうち二人が女性になるということで、男女比が三対一だった前作に比べて女性率が高くなったという。ところが、ノヴァイーグルに乗る事実上のメインパイロットで主人公である「飛鷹ひだかあおい」と、副主人公格でノヴァライガーに乗る「館華たちばなくらら」が両方とも女性だというところが、いかにも2007年のCS放送作品だなと思ったり。このあたりの作り方、どちらかというとOVA的なんですよね。


 なお、くららの中の人は桑島法子なんですが、今作では死にませんでした(笑)。


 男性陣二人もそこそこ濃いキャラなんですが、特にノヴァライノスのパイロットである「加門かもん朔哉さくや」はホームレスという強烈な設定の割には印象が薄いという(笑)。むしろ、ノヴァエレファントのパイロットでエリートサラリーマンである「ジョニー・バーネット」は、プライベートの方で何かとアイドル歌手「エイーダ・ロッサ」と因縁があって、それが恋愛模様につながっていくという展開の方が印象的でした。


 ところが、このエイーダが実は顔を隠して登場していたR・ダイガンのパイロットだったということが中盤になって明かされます。意味深にオープニングにも出てきてはいたんですが、そういうオチだったとは。ただの恋愛要員キャラかと思ってたんで、これには良い意味で裏切られました。


 なお、味方の組織「ドラゴンズハイブ」のボスである謎の男「F.S.」の声優が矢尾一樹でした。イニシャルからして前作主人公の藤原忍っぽさマンマンなんですが(笑)、これは「FOG SWEEPER(霧を払う者)」の略称だそうです。結局最後まで正体は明かされないまま生死不明となります。


 また、R・ダイガンを作った方の組織でエイーダの上司だったウラジミールという美女の中の人は、前作ヒロイン結城沙羅を演じた山本百合子でしたが、こちらも特に前作との因縁はありませんでした。


 あと、面白いゲストとしては、第8話のゲストキャラである「神官ローサ」の中の人が、前作でローラ・サリバンを演じた元C.C.ガールズの藤原理恵だったという。もっとも、全然印象には残っていませんが(笑)。


 ところで『ダンクーガ』というと、その藤原理恵が歌っていたダメージソング(笑)も印象的だったのですが、それとは対照的に本作のオープニング主題歌「鳥の歌」は非常にカッコ良く、また主人公である葵のイメージにもピッタリな感じの名曲でした。


 超名作としてお勧めするというほどではないのですが、見て損はないレベルの佳作だと思います。


 さて、次回なんですが、これは「見たい」という人には「やめとけ」と助言したくなる作品なんですよねえ(爆)……『REIDEEN』に行きたいと思います。

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