第321話 機動戦士ガンダムSEED DESTINY その12 完璧超人ひいき組編

 『DESTINY』語りも12回目、そろそろ本気で巻いて行きたいと思います。今回のサブタイトルについては、読み進めれば意味は分かっていただけるかと思います。


 前作『SEED』からの登場組なのですが、一番凄いのはネオ・ロアノークでしょう。この人、一応「新キャラ」扱いだったりします。


 一見するとガンダムシリーズ伝統の仮面ライバルキャラっぽい人です。ただ、前作『SEED』でも仮面キャラのラウが実は主人公のライバルじゃない(ラスボスにはなりましたが)のと同じで、この人も主人公のライバルではなく、敵部隊の指揮官というポジションです。


 ただ、声優が子安武人の時点で正体がバレバレ(笑)。いやね、本作では前作でフレイとナタルを担当していた桑島法子が完全に別キャラであるステラを担当しているから、別人である可能性も微レ存ではあったんですよ。クワトロ・バジーナが本当にシャアじゃなくて別人だったくらいの可能性は(笑)。


 何しろ、記憶喪失っぽいという。そんなのが何で部隊指揮官やってるんだというツッコミはさておき、指揮官としては有能です。ガンダム強奪作戦は成功させてますし。ただ、いかんせん配下のパイロットがすぐに暴走したり使い物にならなくなる強化人間どもなので、足かせになっているという。


 そして、終盤になってアークエンジェルの捕虜になって正体が明かされます。何と、前作『SEED』の最終回で戦死したはずのムウ・ラ・フラガだったのです! ……うん、知ってた(笑)。


 最初は戸惑っていたネオ=ムウでしたが、やがて記憶を取り戻して完全復活します。当然、マリューとの仲も(笑)。


 アスランを差し置いて金ぴかMSのアカツキに乗ると、得意の空間認識力で無線誘導子機も使いこなして無双します。最後は前作『SEED』のラストではストライクでは防ぎ切れなかった陽電子砲をアカツキの能力で完全に跳ね返して生き残るという活躍っぷり。


 色々な意味で「美味しい」、本作一番の儲けキャラでしょう。


 その「恋人」マリュー・ラミアス艦長については、最初はオーブの技術者になった姿を見せていましたが、ラクスとキラが立つとアークエンジェル艦長に復帰。そのまま指揮をとります。


 この人の場合、前作では未熟な艦長だったのが、さすがにあれだけの戦乱をくぐり抜けて自艦を生き残らせた経験が鍛えたのか、本作では危うげ無い指揮で名艦長っぷりを見せております。最後はミネルバとの一騎打ちでタリア艦長に完勝してますし。


 ムウを失った心の傷を時が癒やしてくれたのか、途中でアンドリュー・バルトフェルドと少しいい感じにもなったりしていたのですが、そこでムウがまさかの復活をとげたので遠慮無く元サヤに収まったという(笑)。


 この人も、前作で成長しちゃって完成された人になっちゃってたんですよ。だから隙が無い。


 そのマリューに振られるチャンスすら失ってしまった可哀想なアンドリュー・バルトフェルドですが、オーブの量産型MSムラサメやガイアを自分のパーソナルカラーに塗り替えて使ったりと、中盤あたりでは大活躍しています。


 終盤はまたエターナル艦長に戻ってますが、この人は元からして名指揮官なので危うげなどひとつもなく、ラクスの旗艦艦長としての任を全うしています。まあ、この人の場合は前作時点で完成された人だったからなあ。


 あと、ミリアリア・ハウについては、前作でちょっと良い仲になりつつあったディアッカ・エルスマンは振ってしまい(笑)、フリーのカメラマンというカイ・シデンっぽい立ち位置にいたんですが、アークエンジェルが復活すると再びブリッジクルーに戻ります。


 ただ、この人はもうメインストリームにからむキャラじゃないんで、フツーにオペレーターやってただけでした(笑)。


 そのミリアリアに振られたディアッカは、前作ではエリートの赤服だったのに、なぜか緑服に降格(笑)。一度敵対したというならアスランだって同じなのに、アスランの方はエリート部隊「フェイス」に抜擢なんだから扱いが悪すぎます(笑)。


 もっとも、それで腐ることもなく、部隊指揮官になったイザークの副官として忠実に任務に励んでいました。


 そのイザークの方は、気性の荒さは変わってないものの、普通に部隊指揮官として活躍してました。ただ、扱いはモブですね(笑)。専用機には乗ってましたけど。


 とまあ、前作組はこんなものでしょうか。


 こいつら、実は前作で成長しちゃったんで、今作では全員が「完成されたキャラ」として登場してるんですよ。それだけに葛藤だとか悩みだとかのシーンが少ないという。いや、マリューあたりは少しはやってるんですけど。


 そのためか、今作登場キャラに対して何というか「ひいき」されてるように見えちゃうんですよね。そのあたりが『DESTINY』の評価が今一低い理由のひとつなんじゃないかと思ったりもします。


 あ、今作組で議長に行くまえに語っておくべき人がひとりいました。ハイネ・ヴェステンフルスです。


 名前からしてドイツ語で「西の川」というこの人、第1期OPを歌った西川貴教が声優をすることを前提にして作成されたキャラだったりします。愛機のグフイグナイテッドも西川が「グフに乗りたい」という要望を出したから作られたのだそうで。


 登場回は少ないのですが、オープニングにも愛機と一緒に顔を出していたりします。単なるゲストキャラではなく、作中でも重要な役割を果たしているところが前作のミゲル・アイマンとは違っています。


 名うてのエースパイロットとして新型機に乗って登場し、評判通りの活躍をします。その時に例の「ザクとは違うんだよォ……」を言ってるんですね。前にも書きましたが、本当に嬉しそうだなあと(笑)。


 まあ、本職は歌手なんで演技については目をつぶりましょう。そんなにド下手というほどではないです。これより少し前の深夜アニメで、主人公の新人声優の演技を新番組予告で聞いただけで見る気を無くすようなド下手な演技を聞いたことがありまして、それに比べれば遥かにマシだったなあと(笑)。


 むしろ、素人にしてはきちんと演技をしてたと思いますよ。シンやルナマリアに対しては良き兄貴分となり、アスランの悩みにも向き合って、部隊のメンバーから信頼を得ていくという。そのあたりに不自然さはありませんでした。


 ただ、まあ、長いこと登場するとボロが出るだろうってことで、ステラのガイアとの対戦中にキラの介入をうけて損傷し、さらに注意がそらされたところを背後からガイアに斬られて戦死します。


 このハイネの戦死が、シンにとってはキラへの恨みのひとつになり、アスランにとってもキラへのわだかまりになるので、やっぱりストーリー進行上重要な役割は果たしているんですよ。


 ということで、やっぱりデュランダル議長までは行き着けませんでした(笑)。次回はジブリールと合わせてラスボス組を語ってから作品を総括して終わりたいと思います。

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