第305話 機動戦士ガンダムSEED その5 ビッチぶりっ子悪魔の子編

 『SEED』語りも5回目になります。今回はヒロインズについて語りたいのですが、「なろう」の方の感想欄で「ヒドインズ」という書き込みを見て、思わず納得してしまったという(笑)。今回のサブタイは、そのヒドいヒロインズの属性を並べてみました。


 歴代ガンダムシリーズ、色々と「ヒドい」ヒロインは多々おりました。ビッチの女帝ニナ・パープルトンとか、死神シャクティとか、脳内お花畑リリーナとか。えー、本作においては、それらの要素、全部きちんと含まれております(爆)。さすがは二十一世紀のガンダムシリーズの基盤を作った『SEED』だけあって、ヒロインズの駄目属性を一通りコンプリートしてるんですね。


 まずは「ビッチ」フレイ・アルスターから行ってみましょう。彼女、立場としては一応幼なじみ枠になりそうですが、お嬢様育ちなのでキラからみると憧れの人っぽい位置にあったようで、その点ではカテジナとかと共通するものがあります。目の前でザフトに父親を殺されるという目にあいまして、それで守り切れなかったキラを難詰するなんてシーンもあったりしますが、このあたりは視聴者のヘイトは買いつつも、一応理解はできる反応だったりします。


 ところが、それで高官だった父親を失い自分の「お嬢様」というポジションに不安が生じたからか、今度はキラを色仕掛けでたぶらかして恋人ポジションに収まるんですね。しかも、これが計算ずくというのが視聴者に丸見えという。それで、それまで婚約者だったサイ・アーガイルも振ります。このサイがまた「良い先輩」ポジションの人なモンだから、視聴者のヘイトを買いまくるという。


 そして、この「色仕掛け」で本当にニャンニャンしちゃったシーンがあったりするんですよ! 土曜十八時に何やってんだとBPO案件になりました……とかWikiに書いてあるんですが、平日十八時にニャンニャンしてた先例ってあるよな、ブライガー?


 ここでキラを利用してることが丸見えな上に、そのキラが戦闘中に行方不明になると、とたんに掌を返してサイとよりを戻そうとするという態度が正にビッチという(笑)。ちなみに、サイの方には速攻で断られてます。そりゃそうだろ。


 ただ、利用しようとして近づいたキラだったのに、付きあってるうちに情にほだされたのか、はたまた実際にキラが頼りになることがわかったからか、そのうち本気になっていたという。ミイラ取りがミイラになったというやつです。


 それなのに、そう自覚してからはキラと再会できないんですね(笑)。ラウ・ル・クルーゼに誘拐されたあげくに、なぜかニュートロンジャマーキャンセラーの図面を持たされて解放されるとか、何気に重要な役割を担わされたりするんですが、本人的にはさっぱり分かってないという(笑)。


 そういう意味では、実の所「ごく普通のちょっとワガママな女の子」が状況に流されて必死になってあがいてただけとも言えるんですよね。そして、最後はキラとの再会も果たせず、戦場で脱出艇をクルーゼに撃たれて死にます。死んだ後になって、魂の状態でキラに謝ってましたけど、それがキラには届いていないという。


 このフレイの場合、最初からヘイトを買うためのビッチキャラで、なおかつ当て馬ヒロインとして設計されているんですね。その点が意図せずヘイトを買ったニナ・パープルトンとは違うという。そして最後は悔い改めて死んで、ビッチキャラから解放されるという。彼女の場合は、最後は死んでナンボでしょう。生き残っても良い事は無いだろうなという、そういうキャラでした。


 それに対して、メインヒロインであるラクス・クラインがまた、ある意味非常にヘイトを買うキャラだという。彼女の場合は、ひとえにその「ぶりっ子」要素がキツすぎるんですよ。


 彼女は、コーディネーター側の前半の議長であるシーゲル・クラインの娘です。「敵国の王女」ポジションなんですよ。なおかつ、アスランの婚約者でもあるという。そして、人気アイドル歌手だったりもします。ヒロインぽい要素盛りすぎです(笑)。


 初登場では、無邪気かつ無垢なキャラとして造形されていました。その点ではヒロインらしいと言えるんです。この時点では「お前戦争中なのに脳天気だな」で済んでました。


 そして、中盤になってキラが負傷して行方不明になっていたとき、その傷心のキラを慰める役として再登場します。この時点では「優しさ」がクローズアップされています。無垢な方の面の発露として、特におかしい感じはありません。ここでヒロイン度アップして、当て馬ヒロインであるフレイを追い落とすのは、まあ良いとしましょう。婚約者であるアスラン裏切ってキラとくっつく、という点については問題視する向きもありますが、その時点でアスランの方もカガリとイイ感じになりつつあったので、そこはギルティとは判定できないという(笑)。


 大問題なのは、最後の最後。父親であるシーゲル・クラインが暗殺されてアスランの父親であるパトリック・ザラが議長になってコーディネーター側の全権を握り、ナチュラルを殲滅しようとすると、それに反対する勢力(クライン派)をまとめるリーダーとして立ち上がるんです。立場的には、まあ、そうなってもおかしくないでしょう。


 問題は、そういう立場になったとたんに、前半の無邪気さ無垢さが銀河の彼方へすっ飛んでってしまったことです(笑)。お前、あのカマトトぶりはどこ行った!?


 覚悟完了したとたんに覚醒したってことなんでしょうけど、前半とキャラ変わりすぎです。いやね、彼女の場合、リリーナほど脳内お花畑じゃないんですよ。ナチュラルとコーディネーターの融和とか、理想は理想として掲げてますけど、そのために戦わないで済ますとか、そういうきれい事は言わない。戦うべきときは戦うし、その戦いで後ろに隠れたりもせず、旗艦に乗って前線に立ちます。その点じゃあヒロインっぽいっちゃヒロインっぽい。


 悪くはない、決して悪くはないんですよ。陣羽織みたいなデザインのコスチュームはちょっとアレですけど(笑)。


 ただ、後半のキャラ立ちからすると、初登場時の無邪気さ無垢さが「ぶりっ子」にしか見えないという。


 何というか、女性受けが悪そうなキャラだなあとは最初から思っていたんですが、最後まで見たら男性である自分からしても受け入れがたい「ぶりっ子」に見えたという(笑)。


 ラクスについては、続編『DESTINY』での責任放棄という問題もあったりするんですが、それは続編での話なので、ここでは止めておきます。ともかく『SEED』の時点で、メインヒロインなのに今一好きになれないキャラだった、ということです。


 そして、最後がアスランのヒロインであるカガリ・ユラ・アスハです。第1話でほんのちょろっと出てきて「お父様の嘘つきー!」とか意味深なセリフを叫んでいたのですが、登場シーンはそれだけ。その後、第17話で『カガリ再び』なんてサブタイトルと共に再登場するんですが、そもそも名前自体をおぼえられるほど出てなかったから「カガリって誰?」状態だったという(笑)。


 再登場後はキラとも仲良くなっていったりはするんですが、むしろアスランと殺し合いしながら胸をもまれて「イヤーっ!」というなかなかもって最悪の出会いをするという(笑)。それでも無人島で生き残るためには協力しないといけないという状況で互いに協力するうちに、なんやかやで意識するようになったりします。チョロいのう。


 実は、オーブ首長国連邦という国の代表の娘だったりもします。それで父親が中立を標榜しながら実はガンダムを作ってた(ナチュラル側に肩入れしてた)ことを知って「嘘つき」と叫んだわけです。とか言いつつ本人も反ザフトのゲリラに加わってたりするんですが。言行不一致やろ、お前。


 この子の場合、何というか、悪意無く行動してるのに最悪の結果につながるという印象があるんですよ。善意の石を敷き詰めて地獄への道を必死こいて舗装するというタイプ。シャクティと同じ系列のタチの悪さがあるんですよ。


 本人の気質としては、さっぱりしていて裏表が無くて、前向きで明るくて行動的で、考えるより先に体が動くタイプ、って感じで、これまたヒロインとして決して悪いキャラではないんです。


 ただ、代表の娘というポジションと絶望的にかみ合わせが悪いという(爆)。その点で言うと、「ぶりっ子」ラクスの方が、代表の娘らしい振る舞いはしてるんですよ。


 ラクスの方は「帝王学」をしっかり学んだなという感じで、お飾りとか象徴とかになるときは、それにふさわしい態度を取ってるんです。まあ、そのせいで普段との落差から「ぶりっ子」にしか見えないんですが(笑)。


 逆に、カガリの方は「お前きちんと帝王学を学んでこいや!」とツッコみたくなるくらいに「普通」なんですよ。


 そして、政府代表だとか政治指導者だとかいうのは「普通」じゃ駄目なんですね。なおかつ、理想を理想としてクソ真面目に掲げすぎるという。リリーナと同列の脳内お花畑なんです。その点でコイツは絶望的に「駄目」なんですよ。その駄目さは続編『DESTINY』で際立つんですが、この『SEED』の時点でもかなり駄目駄目でした。


 この子は、中盤にかなりキラと仲良くなるのでヒロイン候補と見てた人もいるようですが、私はアスランとの出会いからしてアスランの方のヒロインだろうなと思ってました。案の定、実はキラとは二卵性の双子ということが明かされて、キラのヒロインからは脱落します。そして、最後は敵国の代表の息子のアスランと恋仲になるという。


 とんだロミオとジュリエットなのですが、『SEED』時点ではジャスティスを自爆させて共に死のうとしたアスランを説得して連れ出すなど、アスランのヒロインとしては、きちんと仕事をしていました。


 ただ、そういう「恋しちゃいけない相手と恋に落ちる」ことも含めて、「政府代表の娘」としては、どう考えても駄目駄目なんですよ、こいつ。


 そういう意味では、オーブ国民にとっては、正に「悪魔の子」だったりします。続編『DESTINY』の主人公シン・アスカがこいつを恨むのも当然だろうという(笑)。


 ということで、ヒロインズについて語ってきたわけですが、何というか、誰ひとりとして好きになれないタイプばっかりだという(笑)。


 その分、脇役の方に魅力的なキャラが多いので、次回は彼女たちについて語りたいと思います。

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