第280話 ∀ガンダム その5 何気に最初期の男の娘?編

 さて、ターンA語りも5回目、今回からキャラ編に入りましょう。まずは主人公のロラン・セアックからです。まず、サブタイトルの理由から説明しましょう。


 サブタイのとおり、こいつ女装してるんですよ。味方組織「ミリシャ」の大スポンサーでリーダー格のグエン・ラインフォードの悪戯で女装して「ローラ・ローラ」という名前で地球人とムーンレイスの交流パーティーに参加することになり、そのままターンAのパイロットはローラということになってしまったという。元来中性的な美少年なんで、全然違和感はありませんでした。声優も女性ですし。


 これについて、富野監督の著書『ターンエーの癒し』で、ほかのスタッフが「男女の性差ジェンダーを超えた云々……」みたいな小難しい理屈を立てようとしていたのを一喝したというエピソードを読んだおぼえがあるんですよ。「そんなんじゃない!」と。


 じゃあ、どんなんだ? と疑問に思ってたんですが、今となっては理解できるという。これ何気に「おとこ」萌えの最初期の類型なんじゃないかと(笑)。女装の可愛い少年「男の娘」が流行になるのは2010年代ですよ。いや、調べてみたら、男の娘の元祖は『ストップ!!ひばり君!』ではないかという説が有力ですし、そもそもが日本神話でヤマトタケルが女装してたとか、源義経も少年時代に女装してたとか、弁天小僧菊之助とか、日本伝統の類型だったりはするんですが(笑)。


 それにしても、今の「男の娘」萌えを十年から十五年くらい先取りしてたんだから、やっぱり富野監督は凄いと思ったり(笑)。


 ただ、こいつは女装させられただけで、性癖はノーマルです(笑)。作中ではソシエ・ハイムの色っぽい姿を見て、思わず前屈まえかがみになっちゃったりもしていました(笑)。


 そのソシエには好意を寄せられていました。Wikiだと「はっきり応えたのは最後のキスシーンだけ」みたいに書かれてましたけど、作中ではまんざらでもなさそうな雰囲気ではあったように見えたんですよね。


 ただ、そのソシエ以上に「憧れの人」が居たんですよ。それが「月の女王」ディアナ・ソレルだったという。で、ソシエの姉のキエル・ハイムがディアナそっくりだったんで、そちらの方にむしろ憧れを持っていたという。


 そのキエルとディアナが途中で入れ替わってしまい、それを知ったので誠心誠意ディアナ(表向きはキエル)に尽くすという。


 結局、最後もソシエとキスはするものの、ディアナの使用人として一緒に暮らすことを選ぶんですね。そのときソシエには自分が一番大切にしていた「ブリキの金魚」の玩具(第1話でロランとソシエたちが川で出会うきっかけでもあった)を渡しています。ただ、ソシエの方は泣きながらそれを川に捨てていましたけど。


 元はムーンレイスで、仲間たちと一緒にフラットで地球に降下してきています。なのでMSの操縦は知っていました。その後、文字通り流れ着いた(川でおぼれて流されていた)先の地元有力者の娘であるソシエ&キエル姉妹に拾われて使用人をやっていたという。


 そこで、すっかり地元に溶け込んでしまい、地元住人の成人のお祭りではホワイトドールと呼ばれていたターンAの前で、同じく成人を迎える年だったソシエと一緒に歌って踊り狂っていました(笑)。


 そのためか、先遣隊として派遣されていたのに全然ムーンレイス側の方に立たず、地元民としてムーンレイスと対抗する立場になっていくという。もっとも、これWikiによると最初から「二年間地球の調査をしたら自由」という条件だったみたいですが。このためか、ロランと一緒に地球に降下した連中は、全員が地球側に立っているという(笑)。もっともパイロットになったのはロランだけで、他のメンバーは新聞記者やパン屋をしてるんですけど。


 偶然にも成人のお祭りとムーンレイス本隊の地球降下が重なったんで、そこでターンAが起動したのに居合わせてしまい、なし崩し的にパイロットになってしまいます。


 そのままターンAで戦うハメになってしまうのですが、元来が平和志向というか、戦闘的な性格ではないので、あまり積極的に戦おうとはしていませんでした。


 それでも、地球人とムーンレイスの共存のために、その障害となる相手とは戦う意志を示し、最後はギム・ギンガナムと戦って倒すことで戦乱を収めました。


 それで、最後はキエルと入れ替わったまま地球で隠棲いんせいすることにしたディアナに従って、その使用人となって暮らすことを選んだという。さて、これディアナの方がロランをどう思っているのかで、その後の暮らしがだいぶ変わると思うのですが、作中ではそこまで明確にされていませんでした。


 声優はパク璐美ロミで、のちに『鋼の錬金術師』の主役エドワード・エルリックを演じることになりますが、本作が初主演作です。デビューは前年の『ブレンパワード』だそうですが、そちらは未見です。中性的なロランをきっちりと演じきっていましたね。


 さて、次回はヒロインズについて語りたいと思います。

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