第245話 機動新世紀ガンダムX その7 フリーデン発進せよ編
『X』語りも7回目、味方レギュラーであるフリーデンのメンバーについて語りたいと思います。なお、味方の母艦となるフリーデンですが、前半は陸上を移動するランドシップでした。このあたりも『ザブングル』っぽいという。後半で宇宙に出る際に、宇宙巡洋艦であるフリーデンⅡに乗り換えています。だから、今回サブタイトルにいただいた第37話のサブタイのセリフでジャミルが発進せよと命令している「フリーデン」は正確には「フリーデンⅡ」のことですね。ただ、メンバーもいちいち「Ⅱ」とは付けておらず、単に「フリーデン」と呼んでいました。
さて、そのフリーデンの艦長を一貫してつとめているのが、前大戦時の旧地球連邦軍のエースパイロットでニュータイプだったジャミル・ニートです。この名字、今日ではツッコミの対象となるのですが、実は本作放送当時はまだ「ニート」という単語はありませんでした。Wikiによれば「若年無業者」の略称として「NEET」が使われたのは1999年が初めてだそうです。
さて、このジャミルは前大戦時にはガンダムXに乗っており、ビットモビルスーツも従えてサテライトキャノンの一斉射撃でコロニー落としを阻止しようとしていました。しかし、コロニーが多すぎたのか、一部は破壊しても残りのコロニーは地球に落ちて、人類の九割が死滅することになったという。
そもそも、コロニー落としが強行されたのが、サテライトキャノンの脅威に対抗するためだったということで、前大戦の惨劇の原因はジャミルにあるとされています……が、これって言いがかりじゃね? 原爆を使うことを決めたのはトルーマン大統領であって、実際に投下した
このときの後遺症でニュータイプ能力を失っており、コクピット恐怖症になっていたことは既に書きました。また、このときライバルとして戦っていたランスロー・ダーウェルもニュータイプ能力を失っています。
実はガロードが最初にサテライトキャノンを撃ったときに、ティファは殺される相手に交感してしまって恐怖の叫び声を上げていました。ジャミルやランスローは、当時はまだ若年とはいえプロの軍人でしたから、それまでも敵を殺していたことはあるはずで、人の死には慣れていたと推測できます。それでも約九十億人の死亡というのは、この二人からニュータイプ能力を奪うのには充分な衝撃だったのではないかと推測されます。
戦後は戦争中の残骸を回収して、それを元に交易を行う「バルチャー」として活動し、陸上戦艦フリーデンの艦長となっていました。自らの経験からニュータイプを保護しようと考え、まず軍産企業の囚われの身となっていたティファを助けようとして、その奪還の依頼を受けたガロードと出会います。
それ以降はティファを保護しながらガロードを導き、一人前のパイロットに育て上げます。また、中盤からパイロットに復帰して活躍したのは、既に書いたとおりです。
トラウマこそ持っていたものの、それ以外は頼りになる渋い大人として描かれており、パイロット復帰後はピンチになったシーンがほとんど無いという実力者でもあります。
ティファに対しては一貫して保護者としてふるまっているのですが、非常に気にはかけていたので、副長のサラ・タイレルからはティファに恋愛感情があるのではないかと邪推されていました。
また、中盤には前大戦時に憧れていた先輩ニュータイプのルチル・リリアントが登場するのですが、彼女は前大戦時に戦闘で精神を崩壊させており、「Lシステム」というニュータイプ能力を利用して電子機器を停止させる装置の生体部品とされていました。彼女の思念体の助けでジャミルはフラッシュシステムを起動しビットモビルスーツを使っていますが、それでルチルは力を使い果たして今度こそ永眠します。
サラからは一貫して思慕の念を寄せられていたのですが、それに応える様子はラスト付近までまったく見られませんでした。しかし、ラストシーンでもサラを伴っており、その際には自分のパートナーであると言っているので、最後の最後になって、ようやく応えてあげたのでしょう。
そのサラ・タイレルは、ネットだと「ジャミルの副官」と書かれておりますが、私は彼女は「フリーデン副長」だと思っています。艦内の統括やジャミル不在時のフリーデンの指揮もとっているからです。「副官」というのは副指揮官のことではなく、指揮官の補助をする、むしろ秘書的な役割なんですよ。サラは両方兼務してる感じなので、どちらも間違いではなさそうですが、私は副長役の方が強いかなと感じています。
常にキリッとしており、冷静沈着な性格で頼りになる副長なのですが、ことジャミルとの恋愛となると微妙に暴走しがちで、ジャミルとティファの関係を邪推してティファに冷たく当たるなどの大人げない態度を取ったりしていました。前にティファの所でも書いたように、第6話のサブタイになっている「不愉快だわ」のセリフは、ティファが口紅を付けたことに対して言ったことです。
これ、作中の描き方では、ティファは「ガロードのために」付けてるんですよ。それをジャミルへの媚態とみて因縁を付けているんですね。非常に大人げないのですが、よく考えてみると三十歳の男の取り合いで十九歳が十五歳に嫉妬するという図柄だったりするという(笑)。
いや、ティファ十五歳はいいとして、ジャミル三十歳とサラ十九歳の方が年齢設定的におかしいように思えますが、ガンダムシリーズってだいたいキャラが若いからなあ。
そのサラ当人はというと、ほぼ一貫してジャミルを慕っているのですが、ジャミルが全然応えてくれなかったのは前述のとおりです。そこへ、ガンダムレオパルドのパイロットであるロアビィ・ロイが割り込んで来たりするんで、少し揺れ動くことはあったという。
ただ、最後はやはりジャミルの方を選んで、ようやくジャミルもそれに応えてくれたというのは既に書きました。最後は幸せになれたんじゃないかと。
そのフラれ男ロアビィ・ロイなのですが、実は結構ナンパな性格で、作中ではあちこちに女を作っていたという風に描写されており、女性陣にプレゼントを贈ったりもしていました。だから、サラへの態度も最初は遊びかと思っていたのですが、かなり本気で惚れていたようです。
レオパルドのパイロットとしては、一度機体を大破させてはいるものの、最後まで戦い抜いた凄腕だったりはします。
ただ、いかんせん戦闘時の印象が薄いんですよねえ(笑)。普段のナンパさと、結局サラにフラれたというのが最大の印象という(爆)。
そして、ラストシーンでは非常に意外な人物とくっついてたりします。何と、バギーの助手席にエニル・エルを乗せて登場するんですね。
※ここ、最初は「バイクの後部シート」と書いていましたが、記憶違いでした。ご指摘いただいた新垣すぎ太様、ありがとうございました。
といったところで時間が来てしまいましたので、残りのメンバーについては次回に語りましょう。特にそのエニル・エルについて語りたいので、次回のサブタイトルは彼女のセリフから取られた第8話のサブタイをいただきたいと思います。ということで、次回……。
「あの子、許さない!」
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