第238話 勇者司令ダグオン(1996-97年)

「ドントセイ、フォーオアファイブ!」


 ……と、副主人公格の広瀬ひろせかいの決めゼリフから始まりました今回のお題は『勇者司令ダグオン』です。勇者シリーズ第七作にあたりますが、勇者シリーズの中でも特に異色作と言えるでしょう。


 まず、何より今回の勇者は「人間がロボになる」タイプです。変身ブレスレットで等身大ヒーロー形態に変身してから、ロボに合体するという。トランスフォーマーの『超神マスターフォース』と同じ類型ですね。古くは『鋼鉄ジーグ』や『ガ・キーン』などの頃から、タカラ系だと意外に多い類型だったりする一方で、バンダイ系だと少ないという。


 また、作品タイトルが主役ロボを表していない唯一の作品でもあります。もっとも味方ロボ全員に「ダグオン」と付くので、むしろ群像劇的に全員主人公という意図なのかもしれません。


 さて、この『ダグオン』なのですが、残念ながら私は序盤で切ってしまいました。いつ頃まで見てたのか記憶が定かではないものの、かなり早いうちではないかと思います。


 そして、切ってしまった理由が、今ひとつ定かではないんですねえ。何となく見なくなったという感じです。前作『ゴルドラン』みたいに具体的に相性が悪かったわけではないです。つまらなかったと思ったわけでもない。ただ、積極的に見たいと思うほどではなかったということなのでしょう。悪くはないけど、見るほどでもないという感じでしょうか。『ガリアン』と同じような感じというか。


 そして、これを書く前につらつらと考えていて、ようやく少し理由らしきものに思い当たったのですよ。どうも、私は「学園物」が好きではないらしいと。ラノベでも、一時期大流行した学園物系はほとんど読んでいないんですね。漫画でも『究極超人あーる』と『彼氏彼女の事情』以外は、読んではいても好きだったという感じがあまり無いです。実はエルドランシリーズをスルーしたのも、学校が舞台だったからという可能性も出てきました。


 本作の主人公たちは、高校生です。これも勇者シリーズの中では高年齢な方ですが、『マイトガイン』の旋風寺舞人という先例があるので、異例というほどではありません。ただ、序盤の舞台は必然的に高校になるんですよ。冒頭で決めゼリフ――要するに「四の五の言うな」の直訳なんですが(笑)――を紹介した海が主人公である大堂寺だいどうじえんに「正義の味方をやっても内申点にも受験にもプラスにならない」みたいなことを言っていた記憶があります。そう、彼らの本業は高校生であって、勇者というのはボランティア活動なんですよ。


 宇宙警察から変身能力とロボを託されて「勇者」となり、宇宙監獄を占領して地球を狙う宇宙犯罪者と戦うというのがメインストーリーになります。サブタイトルにそれぞれの回の敵宇宙人が「●●星人登場」みたいに紹介されているあたり、ウルトラシリーズへのオマージュがあるのですが、そのことから当然のように炎たちは自分たちがダグオンであることは周囲に秘密にしているという。


 なので、メインの舞台は必然的に高校になってしまうわけですよ。それが無意識的に気に入らなかったんじゃないかなあとか思ったりするわけです。


 あと、途中から仲間になる「番長キャラ」の黒岩くろいわげきが非常に合わなかったというのはあるかもしれません(笑)。おかしいなあ、この頃の格闘ゲーム『ファイターズヒストリー』だと溝口みぞぐち「タイガーバズーカ―じゃ!」まことは好きだったのに(笑)。


 さて、主役ロボですが、炎が変身するファイヤーエンがまずパトカーと合体してダグファイヤーとなり、それがさらに消防車、救急車、ジャンボジェットと合体してファイヤーダグオンになります。私はここまでしか見てないのですが、ダグファイヤーがショベルカーと合体するパワーダグオンが二号主役ロボで、全部まとめた一号二号スーパー合体がスーパーファイヤーダグオンになります。


 勇者シリーズ三種の神器では、パトカーが入っていますね。ほかに定番だと消防車とジャンボジェットが入っているほか、仲間ロボではなくメインロボにショベルカーが入っているのは珍しい類型かなと。


 ほかの仲間ロボだと、新幹線から変形するロボが三体合体するのがライナーダグオンです。これに、激の変身するドリルゲキが蒸気機関車――ドリル付き形態にも変形するドリルメカでもあります――に合体してダグドリルとなり、更にライナーダグオンと合体してスーパーライナーダグオンになります。これまた定番の新幹線とドリルメカですね。


 ほかに動物やドラゴンから変形するロボが合体するシャドーダグオンが居ます。名前どおり忍者キャラですね。動物やドラゴンも定番です。


 あと、追加戦士系でバイクから変形するロボのダグサンダーとスペースシャトルが合体するサンダーダグオンというのもいます。これまた定番のスペースシャトルですね。


 そして、このロボに合体するメインキャラに、美少年系が多かったのですよ。そう、前年の『ガンダムW』の成功を受けて、その前の『聖闘士星矢』や『サムライトルーパー』の流れである美少年集団ヒーローの流れを、勇者シリーズにも導入しているんですね。


 まあ、純粋に美少年系だけでなく、ビミョーな顔も混じってたりはしますが(笑)、それでも意図は読めるので「何だかなあ」と思ったおぼえがあります。これも切ってしまった遠因かもしれません。


 もっとも、その系列だと、この96年には『超者ライディーン』という更に露骨なのがあったりするんですが、前にも書いたとおりこれは未見なので当エッセイでは取り扱いません。


 そうそう、オープニング主題歌は悪くありませんでした。挿入歌として英語版が使われていたのをおぼえています。


 というわけで、語れることがこのくらいしか無いので、今回はここまでといたします。次回は平成ガンダム三部作最後の作品にして、テレ朝ガンダム最終作でもある『機動新世紀ガンダムX』に行ってみましょう。

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