第218話 新世紀エヴァンゲリオン(1995-96年)

 さあ、いよいよやって参りました。『ガンダム』以降最大のヒット作にして、社会現象を起こしたアニメ『エヴァンゲリオン』(以下エヴァと略記)です。


 本作は単なる「巨大ロボットアニメ」の枠内どころか、日本アニメ史上でも特筆すべき大ヒット作品になります。そのコンテンツ力は放送開始後二十三年が経過した今も変わっていません。つい最近も、新幹線がロボットに変形する子供向けアニメ『新幹線変形ロボ シンカリオン』とコラボしたというのが話題になりました。これ、アニメ誌やネット上だけでなく、流行物を紹介する雑誌でも特集が組まれたくらいの話題になっていたんですね。異例の本放送中の再放送までされたという。まあ、それだけやっても私は見てないんですが(爆)。


 また、本作の九年後2004年に公開された実写特撮映画『キューティーハニー』は本作の監督である庵野監督が作ったのですが、その主演女優だった佐藤江梨子はインタビューで「中学生のときにエヴァを見ていたので庵野監督は神」と語っていたんですよ。


 それだけの影響力がある作品だったということです。


 また、現在進行形でリメイク劇場版『ヱヴァンゲリヲン』も第四作が作成中となっております。ただ、本エッセイ内では、このリメイク版は原則として対象外とさせていただきます。第二作までしか見てないモンで。


 さて、本作は完全にリアルタイムで見ています。スパロボの『F』と『F完結編』にも登場しており、それは遊んでいます。二次資料も結構読みましたが、漫画版は序盤しか読んでいません。小説版などは未読です。


 本作の放送が決まってアニメ誌などで紹介されたとき、私は少し斜に構えて見ていました。「また庵野がオタク騙し作ろうとしてるよ」と。ただ、本作の前に『オネアミス』と『トップ』は見ていたし『ナディア』は少ししか見ていないものの情報は仕入れていたので、庵野監督の力量は把握していました。だから、きっとオタク向けだけど面白い作品にはなるだろうなあとは思っていました。


 なので、本放送開始時に、一応見てみようかと思って第1話のオンエアをチェックしたのです。


 そして、見終わったときの感想。


「しまった、俺はオタクだった!」(爆)


 見事に、庵野監督に騙されました(笑)。


 カッコ良いオープニング、スピーディな演出、意味深な謎を散りばめた展開。オタク心をくすぐるガジェット。すべてにおいて、私の心をジャストミートしていたのです。


 これは、久々に「翌週が楽しみになる」作品でした。ここまで次回のオンエアを心待ちにするなんて、それこそ『ガラット』以来じゃないかというくらいに放送を楽しみにしていたんです。


 しかし、中盤になって展開が怪しくなってきます。面白さは変わりませんが、作品の方向性について「これは『アニメ』としてマトモなエンディングには向かっていない」ことに気付きました。


 そして、あの「伝説」の最終回二話!


 笑った。笑いました。オンエア見終わったあとで、もう卒業していた大学のサークル仲間と会って、あの「おめでとう」「僕はここに居ていいんだ」の拍手ネタを散々やらかしました。


 何しろ、全員就職に失敗してましたから(爆)。全滅ですよ、全滅(笑)。二学年上の先輩方は全然就職に苦労してなかったのに。見事にロスジェネにハマっていたわけです。


 まさに、リアルタイムで「居所の無い」存在が山ほど生み出されていたときに、あのオチ。あれが心に刺さったロスジェネ世代オタは多かったんじゃないかなあ。


 あの最終回については『オーガス』だというのは、既にオーガスのところで書きました。


 この終わらせ方については「時間が無かったんでこうなった」という言い訳はリアルタイム当時から言われており、「劇場版で真のエンディングを見せます」というのも発表されていました。


 ただ、私は漠然とながらも「こうするしか終わらせられなかったんじゃないかな」と思っていました。


 後年になって、あのTV版のラスト二話は意図的にやったものだと明かされたときには「さもありなん」と思ったものです。その頃には、エヴァ作中において、一見伏線を張っているように見えた「意味深な単語」が、「単なる謎っぽい雰囲気の演出」でしかなく、TV版制作時には中身なんか無かったということに思い至っていたんですよ。


 それを私が完全に理解したのは後年になって『ラーゼフォン』を見てからでした。これについてはラーゼフォンを語るときに説明したいと思います。


 これらの謎の一部は予告通り劇場版で明かされていますが、たぶん劇場版作っているときに辻褄を合わせたんだろうなと思っています。


 ただ、そうは思っていたとしても、劇場版は楽しみでした。そして、劇場版については両方とも映画館で見ました。


 まあ、第一作『シト新生』については、TVを見た人間にしかわからん再編集版と、ごく僅かな新作パートという中々尖った作品だったんですが、感想を言うなら「眠い」(爆)。これは、そういう内容だとあらかじめ公表されていたんで「金返せ」とは思いませんでしたけど、「庵野へのお布施だな」とは思いました(笑)。


 そして、こちらは期待して見に行った第二作『Air/まごころを、君に』。感想を言うなら「なるほど、こりゃTVじゃやれんわ」&「やっぱこうなったか」。


 あと、エヴァを「ハッピーエンド」で終わらせるなら、TV版の終わらせ方しか無かったんだな、ということを再認識できました(笑)。


 こうした「劇場版商法」まで含めて、それでもなお私はエヴァを「名作」だと思っています。その総評については、最後にまとめましょう。


 それでは、次回からロボとキャラについて見ていきたいと思います。


 本作の場合は、各回のラストはこれで締めるしか無いんだよなあ……。


「この次も、サービスサービスぅ!」(爆)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る