第180話 機動戦士Vガンダム(1993-94年)

 はい、今回は大問題作『機動戦士Vガンダム』(以下Vガンと略記)です。いや、誤魔化さずにハッキリと書かせていただきますが、これ駄作です。歴代ガンダム中で、私の中での評価は『ガンダムW』と並んで最低レベルになります。


 本作はリアルタイムで全話見ました。スパロボ登場作品のうち『新』と『二次G』は遊んでいます。スパロボでの印象は薄く、リアルタイム視聴したアニメ本編の印象が強い作品です。


 何で駄作かって、ストーリーも登場キャラクターの性格も破綻してるからですよ。何でこうなるのって世界。


 唯一、登場メカの怪しさだけはネタとして楽しめるという。車輪戦艦とかドッゴーラとか。これらについては、あとで語ります。


 それなので、富野監督が本作を「失敗作」「見ちゃいけない」と評しているのは、全然不思議には思っていませんでした。本作制作中は鬱気味だったという情報も聞いた事があるので、本作が「皆殺しの富野」「陰の富野」系の作品になっているのも当然かなと思います。


 だから、今回の執筆のためにググってみて「ファンの評価が高い」というのを見て愕然としたんですよ。「えっ、コレを高く評価してるファンがいるの!?」って。


 読んでみたら「戦争の悲惨さを描いている」「ガンダムらしい」と評価するファンが多いとか。


 更に読んでみたら「主な商品購買層はZガンダムを見ていた層」とも書いてありました。


 そうか『Zガンダム』を面白いと思う層は、コレも高く評価するんだ……思いっ切りカルチャーギャップを感じました。年代的には、たった五~六年しか違わないのに。


 まあ、作品全体の総評やキャラクターについては置いておいて、とりあえずロボ話から始めましょう。


 一号主役ロボのVガンダム(正式名称はヴィクトリーガンダム)については、普通にカッコ良いロボです。サイズ的には『F91』を引き継いで、少し小型になっています。コア・ファイターを中心に、飛行可能なAパーツとBパーツが合体してVガンダムになります。


 ただ、本作の何が画期的だったかって、今までは実質的にワンオフ機体だったガンダム(マーク2みたいに三機出てきたのもありますが)が、Vガンは完全に量産されているということです。コア・ファイターも複数あるし、初代ガンダムのAパーツにあたるトップ・リムやBパーツにあたるボトム・リムに至っては山ほど出てくるという。


 その反面、Vガンについては「ガンダムらしさ」は欠片もありません。ちょっと強い量産MS扱いです。


 何しろ、脆いんです。腕だの足だのは簡単に破壊されるので、そのたびに地上の支援部隊から新しいトップ・リムやボトム・リムが撃ち出されて、分離合体して交換するという。お前はアンパンマンかと(笑)。


 さらには、ボトム・リムなんかミサイル代わりに敵にぶつけたりします。お前ら、結構高価なはずのMSの下半身をミサイル代わりにするなよ。だいたい、味方陣営「リガ・ミリティア」ってゲリラみたいなモンで、人手も無いからガキだのジジイだのまで使ってるっていうのに。新型MS開発する予算や経済力があるにせよ、そんな勿体ない使い方して大丈夫なのかと。


 こういう印象があるので、カッコ良いけど全然強い機体には思えないという(笑)。また、主人公ウッソ・エヴィンだけでなく、仲間も大勢これに乗っています。後半には「Vガンダムヘキサ」という頭部アンテナのデザインが変更された改良型が投入されています。


 それに対して、二号主役ロボのV2ブイツーガンダム(以下V2と略記)については、まったく作中での強さの印象が違います。


 基本デザインはVガンを踏襲していますが、青色部分が多くなっています。歴代ガンダムの中でも青い方かなと思います。Vガン同様にコア・ファイターとトップ・リム、ボトム・リムが合体して完成します。


 V2に作中では二機のみ登場しますが、そのうち一機は登場してすぐに隊長兼頼れる先輩格のオリファー・イノエが敵戦艦に特攻して失われ、ウッソ搭乗の機体のみになります。


 このとき、オリファーが残したトップ・リムとボトム・リムがあり、ウッソは「オリファーさんが残したものだから」と、こいつらを大事に使用するので、それ以降は第43話でボトム・リムが破壊されるまでは一度も交換描写がありませんでした。つまり、そこまでは無傷で戦っていたということです。


※初稿では「最後まで交換無し」と書いていたのですが、「なろう」の方の感想欄で野生のはいよるくま様から第43話で破壊されてボトムミサイルをやっているとご指摘がありましたので訂正いたしました。ご丁寧にDVDで確認していただいたようで、ありがとうございました。


 ミノフスキードライブという推進機を装備しており、理論上は亜光速まで加速可能という壊れ設定になっています。また、これを使用すると副次的に「光の翼」というエネルギーフィールドが発生し、それで敵機をぶった切ったり、敵のビームを防いだりもできます。


 バカでかいビームライフルやビームシールドも装備しており、さらに追加装甲であるアサルト装備や、ビームキャノンやミサイルポッドを追加するバスター装備というオプションもあり、それら両方を装備したV2アサルトバスターなんて形態もあります。


 要するに、機動性も武装も最強クラスのガンダムだったりするのですよ。Vガンがカッコ良いのと裏腹に普通スペックなのに対して、こっちは実に「ガンダム」らしい壊れスペックです。


 このように、主役ロボについては、少なくともV2は決して悪いロボではありませんでした。Vガンも「ガンダム」の名に値するかどうかはともかく、リアルロボとしてなら主役ロボ量産はむしろ普通のことですから、強い弱いはともかくとして、有りだとは思います。


 上記のようにVガンは量産されているのですが、それとは別にジム相当の量産機もありまして「ガンイージ」と呼ばれています。こいつ、ガンダム特有の頭部アンテナが無いものの、一応ガンダム顔をしています。色は薄緑一色ですけど。


 Vガンのような変形合体機構こそ無いものの、それ以外の性能的には大差無い感じでした。武器もVガンのビームライフルを共用で使っています。


 後期には、バックパックをビームキャノンを搭載型に交換した「ガンブラスター」というパワーアップ機が登場しています。


 味方量産機として、基本的にはやられ役になるのですが、搭乗するのが「シュラク隊」という美女揃いの部隊でして、撃破されるときの描写が毎回丁寧に描かれるので、あまり弱い印象が無いんですよ。このシュラク隊については、キャラクター編で詳しく書きたいと思います。


 さて、これで味方MSは書いたので、次回は敵MSに行きたいと思います。


 本作書くなら、締めはこのフレーズにしないといけないんだよなあ……似合わんけど、やるか。次回予告は、ヒロインのシャクティ・カリンが毎回このセリフで締めてたんですよ。


「見てください!」(爆)

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