第161話 勇者エクスカイザー(1990-91年)

 栄えある「勇者シリーズ」第一作『勇者エクスカイザー』です。本作については、リアルタイムで途中まで見ていました。そう、途中切りしてしまったのですよ。


 これについては「つまらなかった」ワケではありません。しかし「ワンパターンだ」とは思ったんです。そして、もうひとつ外的要因がありまして。実は、この年、大学受験だったという(爆)。なので、四月から放送開始の『不思議の海のナディア』は見たかったけど見るのをやめたんです。そして、エクスカイザーもたぶん四月か五月くらいで見るのをやめているはずです。4月7日放送の第10話で出てくる敵ロボのトチョーン(東京都庁が変形する)は見たおぼえがありますので、そのあとでしょう。


 さて、このエクスカイザーですが、かなり明確にトランスフォーマーの要素を受け継いでいます。宇宙から来た超生命体が自動車に乗り移ってロボになるという。そして、主人公の少年星川コウタと友達になります。


 ただし、完全に日本的なスーパー系ロボの要素も多く取り入れられています。その最たるものが、敵ロボは毎回違うモチーフで毎回必殺技でやられるという所です。また、正義側のロボ「カイザーズ」は全員が宇宙警察の警察官という立場で、正義の味方であることが明確にされています。


 敵である宇宙海賊「ガイスター」の幹部は、直接は戦いません。地球にある物を巨大ロボ化させて、それで攻撃してきます。だから、東京都庁が悪の巨大ロボ化して暴れ回ったりするんですね(笑)。


 ただ、低年齢層向けであることを明確にしたのか、人死には出ません。この点は前番組の『獣神ライガー』とかなり違った雰囲気になっています。


 そして、上手いと思える要素なのが、カイザーズもガイスターも宇宙から来たので地球の常識は知らないということです。ガイスターは宇宙海賊なので、その目的は地球侵略とかではなく「地球のお宝を奪うこと」なのですが、そもそも何が「お宝」なのかわからないという(笑)。なので、地球人の会話から「大切なもの」を推測して奪おうとするのですが、毎回トンチンカンなことになるという。


 それに対して、カイザーズにはコウタという友達がいて、アドバイザーになってくれるので、地球の常識を教えてもらえるという。この「地球の常識を教える」という役割があるので、特別な力が無い小学三年生の少年でも正義ロボの仲間として役に立てるんですね。つまり、メイン視聴者である少年たちは「ただの少年でもロボの仲間として戦える」というのに感情移入できるわけです。


 このあたりの図式は、勇者シリーズでも路線変更された第四作『勇者特急マイトガイン』の前までは継承されていきます。


 さて、主役ロボのエクスカイザーですが、胸にライオンが付いてます(笑)。ダルタニアス以来の胸ライオンロボなのですが、これ以前には特撮『超獣戦隊ライブマン』のライブロボ以外には、このモチーフはありませんでした。しかし、これ以降の勇者シリーズでは定番モチーフになります。


 また、変形前はスポーツカーです。これ、コウタの家の自家用車に乗り移ったという(笑)。


 そして、キングローダーというトレーラーを呼び出してキングエクスカイザーに合体します。大型化のための合体ユニットがトレーラーであるあたりも、トランスフォーマーの影響が感じられます(笑)。


 なお、番組中ではキングローダーが異空間から出現するのですが、玩具ではスポーツカー形態でキングローダーを牽引できたので、ロディマスコンボイのトレーラーみたいな絵面になります(笑)。作中でも、オープニングではその形態があったような記憶があるのですが、うろおぼえなので違っていたかもしれません。またWikiによると、一回だけ本編内でも牽引形態を見せたことがあるそうです。


 このキングローダーが破壊されて一時的に戦線を離脱した際に、かわりに登場したのがドラゴンジェットで、ドラゴンジェットとエクスカイザーが合体するとドラゴンカイザーになります……が、このあたりは未見なのでWiki情報です。


 さらに、キングエクスカイザーとドラゴンジェットが合体してグレートエクスカイザーになるという。この二号ロボと合体して一号ロボが更にパワーアップというのは、先に例に挙げたライブロボがスーパーライブロボになったのにインスパイアされたのだろう……とかずっと思ってたんですが、今回裏取りのためにググってみたら、当のスーパーライブロボの説明に「二号ロボとの合体はゴッドジンライを見て急遽追加されたギミック」みたいに書かれていて「しまった、そっちが先だったじゃん!」と初めて気付いたという(爆)。だってゴッドボンバーってパワーアップパーツって印象の方が強くて、二号ロボ感が無いんですもの。あと、スターセイバーもビクトリーレオと合体してましたが、ビクトリーレオは別人格を持ってるので、やっぱり二号ロボ感が無いんですよね。


 それから、仲間ロボも変形合体するのも、トランスフォーマーから引き継いでいますね。


 ただ、その中にドリルマシンから変形するロボと、新幹線から変形するロボがいるのは、このあと勇者シリーズに引き継がれる伝統になります。


 ライオン、ドリル、新幹線は勇者シリーズ三種の神器(笑)。パトカー、スペースシャトル、消防車も欠かせないモチーフかなと(笑)。この六つ、一部が欠けてることはあっても最低三つは含まれてますね。


 それから、オープニング主題歌は子供向けのわかりやすいスーパーロボット系の歌詞と、90年代風のメロディが組み合わさった名曲です。シングルCDを買いました。勇者シリーズの主題歌は、これ以降もこの傾向の名曲が続きます。


 途中切りしてしまったのですが、丁寧な作劇で名作との評価も高く、なにより本作以降八作作られる勇者シリーズの基礎を作った作品として、その功績は非常に高く評価すべきかと思います。


 ただ、私、後番組の『太陽の勇者ファイバード』だけは、勇者シリーズ中唯一まったく見てないので、当エッセイでは取り扱いできないのですよ。これはもう、受験シーズン真っ最中の開始だったので第1話を見られず、当時は第1話見てない作品は見ないという変な主義だったので見なかったという。


 ただ、第三作『伝説の勇者ダ・ガーン』もリアルタイムでは見ていなかったのですが、のちにCS放送の再放送で全話見ています。『ファイバード』もその頃にCSでやってたら見ていたと思うのですが、あいにく再放送がなく未だに未見なんですよ。二次資料を読んで設定は知っているんですけどね。


 ということで、勇者シリーズの中でも重要なファイバードについて語れないのは無念なのですが、何とぞご了承ください。


 受験中ということで、90年で語れる作品はこれだけなので、次はもう91年になります。


 実は90年には、のちに続編も作られた『NG騎士ラムネ&40』という巨大ロボットアニメもあったりするのですが、これはシリーズ全部通して未見なんですね。RPGモチーフのファンタジーロボなんですが、何か性に合わなかったという。


 あと、同じくRPGモチーフのファンタジーロボ『RPG伝説ヘポイ』ってのもあったんですが、これまた未見です。この頃は既にファミコンでRPGが全盛になってたんで、これより前のワタルとかグランゾートも含めてファンタジー系ロボが多いという。全部見てませんけど。


 ……ってか、ファンタジーロボ物書いてるくせに、やっぱ私ってファンタジーロボ嫌いなんじゃないかと(爆)。

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