第106話 機動戦士Zガンダム その17 お兄ちゃん編

 Zガンダム語りも17回目、残りヒロイン行ってみましょう。今回は予告通りロザミアから行くので、このサブタイトルです。


 さて、このロザミア、実は作中に登場する強化人間第一号です。ギャプランのところで書いたように、ギャプラン一号機に乗って登場し、その時点では普通に強敵でした。多少精神的に不安定そうな雰囲気はあったものの、まだ強気のパイロットの範疇に収まっていたような印象があります。前にも書いたように、脱出時の髪がたなびくシーンが印象的だったのはおぼえています。


 そして、リアルタイムで私が見ていたのはここまで。後半に再登場してロザミィとしてカミーユの妹だと思い込むという部分はリアルタイムでは見ていません。しかし、アニメ誌で展開は知っていました。


 そして、それを読んだ時の感想が「スタッフ、遊ぶなあ」でした。これ、明確に「元ネタ」があります。ただし、二次資料では一切それに触れられることはありませんでしたし、今後も無いでしょう。そういうです。なので史料的根拠はゼロです。


 しかし、リアルタイムでアニメ誌読んでたヲタクなら、大抵は気付くネタです。逆に、後世にZガンダムを見た場合「何なんだこの変な展開は?」とツッコみが入るところだと思います。元ネタを知らないし、それがネタだとわからないから。また、ネタだとわかっていても、やっぱり変な展開であることに変わりはないでしょう。


 フォウとカミーユの関係は、ララアとアムロをトレースしたものですから、敵味方が偶然中立地帯で会って……でまだ収まるのですが、この明確に敵の元に強化人間を送り込むという作戦は怪しすぎます。それも妹とか。


 何でこんな話になったのか? 私の結論は「ネタだろう」でした。同じ結論に達した同時代のヲタは多いはずです。


 では、その「元ネタ」は何か?


 主人公カミーユを演じた飛田展男が、その前に演じていた役がひとつあります。アダルトアニメの準主人公です。これは秘密でもなんでもなく、当時のアニヲタなら知っていました。しかし、今のWikiには載っていません。


 驚いたことに、そっちのアニメの方のWikiでもキャスティングに載っていませんでした。そうか、今では「無かったこと」になってるのか……。


 そのアダルトアニメとは『くりいむレモン』。OVA草創期に一世を風靡したアダルトアニメシリーズです。その第一弾『ビーマイBabyベイビー』のヒロイン野々村ののむら亜美あみが「お兄ちゃん」と慕う義兄ヒロシ。それこそ、飛田展男が演じていた役だったのです。


 さあ、もうおわかりですね? そう、ロザミアがロザとしてカミーユを「お兄ちゃん」と慕うという展開は、正にコレをネタにしたとしか思えなかったのですよ。


 繰り返しますが、根拠は何もありません。当時のZガンダムのスタッフも、脚本家だって、富野監督だって、こんな話は大っぴらに言ったり書いたりはしないでしょう。ましてや、今では出演自体が黒歴史として隠されてるという状態なら。


 これこそ、正にリアルタイムを体験した人間でしかわからないことです。そして、おおやけになる二次資料として記録されることは決して無いでしょう。こうやってWebの片隅で異説として細々と都市伝説的に語られていく、そういうたぐいの話ではないかと思います。


 ガンダムがらみでは、次のZZでも同じようなもっと大きなネタがあります。主要登場人物、ヒロインのひとりのネーミングにおいて。これについては、そのときに語りましょう……既に予想がついている人は多いかなという気もしますが(笑)。


 劇場版ではフォウも再登場場面はカットされているので、ロザミアも後半の再登場場面がカットされたのは不思議ではないのですが、上記のようなことを考えると、後半部カットは当然かなとも思えたりします。


 ところが、そのせいで劇場版では敵として登場しただけ、しかも死んだかどうかもわかってない状態なのに、最終決戦でカミーユの側に霊体として登場しているという不思議状態に(笑)。もっとも、同じく敵として戦ったことしかないライラすら登場しているので、別にいいのかな。


 なお、TV版では姓はバムだったのが、劇場版ではバムに変更になっています。これはWikiによると、もともと小説版でもバタムで、富野監督が考えていた姓はこっちだったのに、TV版で誤植されたのが定着してしまったのを直したのだとか。


 さて、残りの文字数は少ないのですが、エマ・シーン行ってみましょう。これがまた、不思議なキャラなんですよね。ヒロインズに入れて良いのかどうかわからないという。


 何しろ、最序盤から登場している重要レギュラーキャラではありますし、カミーユに与えた影響も大きいものの、徹頭徹尾ヒロインっぽいポジションにはならないんです。あくまで、味方の先輩パイロットという立ち位置なんですね。また、少し年上の姉的なポジションでもあるという。そのためか、カミーユからは常に「エマさん」と呼ばれていて、何となくそう呼んでしまいます(笑)。


 その割には、一号主役ロボであるマーク2を譲り受けて、Gディフェンサーと合体してスーパーガンダムにして使ったりしてるんですよね。それまでの前例からすると、これはヒロインがやることなんですが、前述のようにエマさんは全然ヒロインっぽくないという。


 むしろラーディッシュ艦長のヘンケン・ベッケナーに惚れられていて、そっちとの恋愛関係の進展があるのかな……などと思っていたら、最終決戦にてエマをかばうためにヘンケンはラーディッシュを盾にします。そこでラーディッシュは爆沈しヘンケンは死亡。お前、いくら惚れた女のためとはいえ部下まで道連れにするなよ、とは当時のヲタから総ツッコみが入ったところです。


 その甲斐もなく重傷を負ったエマはカミーユの腕の中で平和への願いを彼に託して息を引き取ります。


 とまあ、ヒロインじゃない割にはヒロインっぽい役割が多いなあという印象があったりします。


 要するに、ガンダムのマチルダさんをレギュラーにしました、といった感のある人なんですよね。


 ただ、惜しむらくは声優の岡本麻弥は本作がデビュー作で(Wikiでは『メガゾーン23』が先とありますが、放送開始は本作が前)、当時まだ高校生と経験が浅かったからか、姉的なポジションでありながら、妙に「かわいい」印象を与える演技になっていて、本人もそれが反省点だったと後年にアニメ誌上で語っていたのを見たおぼえがあります。もっとも、それで逆に続編のZZでは、主人公の妹リィナ役でレギュラーを得ることができたようですが。


 元はティターンズでマーク2のパイロット候補として登場したものの、ティターンズのやり口に疑問を抱いて、マーク2を奪ってエウーゴに寝返ります。敵味方人事異動の第一号ですね(笑)。生真面目な性格ですが、イエスマンではなく自分で善悪理非を判断できる人間として描かれています。


 パイロットとしての腕も決して悪くはなく、ときどきピンチになるシーンはあったものの、最終決戦まで安定して生き残ってきました。


 ただ、それ止まりなものだから、私が遊んでた頃のスパロボだとレギュラー落ちするんですよねえ(笑)。


 さて、次は……ライバルとその女性たちについて語りましょうか。


 君は、33年の涙を見る。

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