第104話 機動戦士Zガンダム その15 なんだ男か編

 さて、ロボ語りが終わったのでキャラ語りに入ろうかと思うのですが、正直そんなに気が進まないので流していきましょう。まずは主人公カミーユからということで、今回のサブタイはすべての発端になったジェリドのセリフからいただきました。余計なこと言わなければよかったものを。


 もっとも、実はカミーユって元は男の名前だという指摘はリアルタイム当時からありました(笑)。Wiki読んでみると、男女どちらでもOKな名前みたいですね。そのせいか、劇場版だとカミーユが怒った理由が変わってたりします。


 さて、そのシーンが強烈だったせいか「キレやすい子供」みたいに言われてる主人公カミーユですが、それじゃあ、古式ゆかしい熱血主人公ってキレやすくなかったのかと言われると、実は結構ケンカっ早い連中も多かったんじゃね? ……とか思ったりもするのですよ。八十年代半ばにそれやったから目立ってるだけで。あと、うじうじアムロの後釜だったというのも影響があるかなと思います。


 なお、劇場版では少しマイルドになっています。これ、Wikiによると現実にキレる子供が増えてカミーユに共感できるようになったから、逆にずらしたんだとか。


 だけど、そもそもが、父親は愛人作って、しかもそれが思春期の子供にバレてる上に、母親の方は仕事に逃げて家庭を顧みないという崩壊家庭の出身だったりします。その割にはマトモじゃね? グレてもおかしくないところなのに、文武両道ですよ。


 ジュニアモビルスーツの大会で優勝したことがあるほか、ホモアビスとかいうハングライダーっぽい小型飛行機の大会でも二年連続優勝の上、空手もやってたりします。両親とも技術者だった影響でメカにも強く、TV版だとZガンダムの設計にも関与しています。ヒッキーの割に謎の格闘能力があったアムロと違って、こいつは格闘技などをきちんと学んでいて、結構な腕前であることが最初から明示されています。作中序盤にあった憲兵の取り調べではエウーゴのメンバーと疑われて、すぐに実戦投入できる能力があると評価されていたりします。


 サンライズの公式設定などでも「ガンダム世界最高のニュータイプ」とされていて、作中でも、かなり強いパイロットです。苦戦を強いられてる印象も強いのですが、それがカミーユの腕がヘボいからという感じはなく、どちらかというとマーク2の性能がヘボかったり、Zガンダムがそれほど強くないという風に感じられます。


 結構女性にも積極的で、ホンコン・シティで会ったばかりのフォウ・ムラサメとはすぐに恋人関係になったりしています。


 ただ、わかり合えたのに結局フォウはカミーユを庇って死んでしまうという。


 ロザミアが押しかけ妹として現れたり、サラとも結構交感してたりと、女性キャラとの絡みが多いんですね。それで最終決戦では彼女たちの思念を周囲に集めてシロッコに挑みます……つまり、みんな作中で決戦前に死んでるという(爆)。


 最後は、唯一生き残った(笑)幼なじみのファと結ばれます。TV版は精神崩壊してたのを甲斐甲斐しく介護してくれたんだから当然かと思いますが、無事だった劇場版でも最後は彼女の元に戻っていくシーンで終わります。


 リアルタイムの頃は、そんなに感情移入できる主人公じゃなかったんですが、大人になって見返してみると、ブチ切れるのも無理は無いかなと思えるようになりました。ときどき拗ねますが、ガンダムの頃のアムロに比べたら可愛いもんです。


 むしろ、こいつ押しも押されもしない主人公なのに、TV版だと一貫してエンディングのキャストで二番目に置かれているという不遇さの方が気になったり(笑)。


 声優は、若手だった頃の飛田展男で、彼の出世作になります。ロザミアについては、明らかに彼がカミーユの前にやっていた役柄がネタになっているのですが、これについてはロザミアのところで語りましょう。


 お次は、エンディングのキャストでカミーユを差し置いて一番上に居た男、シャア・アズナブルです。前作ガンダムでは美形ライバルのポジションでしたが、本作では主人公カミーユを導く師匠役になります。


 前作ガンダムの終盤から、結構情けない感じになっていて「赤い彗星も地に落ちたものだな」とかキシリアにディスられていましたが、本作でもその傾向は変わらず(笑)。


 「赤い彗星のシャア」の名声と実力を期待する周囲に対して「私はクワトロ・バジーナだ。それ以上でもそれ以下でもない」とか言って失望させたりしています。作中でも、みんなにシャアとバレていながら、ダカールで演説する前は一貫してクワトロ・バジーナ大尉で通しています。


 エウーゴのリーダーであったブレックス准将が暗殺され、ダカールで正体を明かしてからはリーダーとして振る舞うようになりますが、それでもMSで出撃するのはやめなかったという。


 これ、『逆シャア』の時代でも同じなんですが、何でお前組織の総帥のくせにMSで出撃するのかと……と言いたいところですが、シロッコもハマーンも総帥のくせに出撃してますし、巨大ロボットアニメだと敵の総帥が最強ロボで出撃するのは、むしろ標準設定デフォルトなんで何も言えないという(笑)。要塞の中で暗殺されたギレンの方が変なんですよ(笑)。


 それでも、MSパイロットとしては盛りを過ぎてしまった感があり、年寄りの冷や水なんて言葉も思い浮かんだりするのですが。


 あと、女性の扱いについては結構ヒドい説は濃厚です(笑)。レコアがシロッコの方に惹かれて敵に寝返ってしまったのは、適切なケアを怠ったこいつのせいでしょう。


 前作ガンダム序盤の圧倒的なカッコ良さを知っている人間からすると、Zガンダムでのシャアは失望の極みだったりします。特にダカール演説前に切ってしまった私みたいな人間からすると、お前アムロに対して偉そうに上から目線で言える立場なのかとツッコみたくなるくらい、煮え切らないんですよね。


 ただ、これも主人公側に立ってしまったせいというか、実のところポジション的にはダブル主人公の片割れといった感じで、懊悩する立場だったりはするんですよね。このあたり、ライバルの方が単純にカッコ良く描けたりはするんです。


 結局、ハマーンに負けて百式は大破させられてしまうものの、そこで死んだとは描かれずに『逆襲のシャア』につながります。まあ、それはそれで「お前ZZ時代は何やってた?」というツッコみが入ってしまうんですけどね(笑)。


 次はヒロインズの話かな。


 君は、33年の涙を見る。

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