第52話 六神合体ゴッドマーズ その4 生きた愛した戦った編

 さて、ゴッドマーズ語りも4回目です。メインヒロインについて語ってしまったので、その他のサブキャラを語りながら残りのストーリーをさらっていきましょう。サブタイはラス前第63話のカッコ良いサブタイからいただきました。半年2クール全26話予定から5クール全64話まで延長されたんですよねえ……なんて書いてたときふと気付いたら、本稿も今回で第52回、4クール分ですよ(笑)。


 六神合体という設定を導入して大幅に原作を改変したほか、双子の兄マーグは出るわ、その副官からヒロインになったロゼは出るわと、重要登場人物もほぼオリジナル展開しているのがゴッドマーズの特徴だったりします。味方側レギュラーも同じで、一番目立つのは地球防衛軍の司令長官である大塚長官でしょう。これ、ある意味では横山キャラなんですが(笑)、前作『鉄人28号』(太陽の使者版)の大塚警部の流用だったりします。スターシステムかと思ったら、Wiki読んで見たら、当時のアニメ誌に「宇宙魔王から地球を守った功績によって防衛軍長官に就任」みたいな記事があったそうで。だったら鉄人がギシン星の侵略ロボと戦わないとおかしいだろうとか思ったり(笑)。


 コスモクラッシャー隊の仲間も頼りになるキャプテン、ライバル格のナオト、メカに強いアキラ、紅一点のミカなどのほか、のちにタケルを慕うナミダ少年が加わります。


 このうち、ミカについては普通ならヒロインになるんじゃないかと思えるのですが、なぜか一度もそういう展開になったことがないという(笑)。同じようなポジションには『バルディオス』のジェミー星野が居るんですけど、あっちの方はまだ少しはジェミーの方がマリンを意識してるっぽい雰囲気があったのに、こっちはそれも無し!(笑) 代わりに誰と恋愛するかというと、第二部に出てくる第三勢力のリーダーでタケルのライバル格になるガッシュという。


 むしろ、ナオトあたりは、最初はタケルの事情を知って「信用できない」などと言っていて、このあたりは多少原作の地球人側を意識してるのかなあとも思えたのですが、一度信頼したあとは一貫してタケルの側に立っています。


 中盤に、第二部の敵マルメロ星が偽ゴッドマーズ作戦でゴッドマーズに疑いの目を向けさせたときもクラッシャー隊の仲間はずっとタケルを信じていました。


 また、第三部の最終盤に「地球がズール皇帝に狙われるのはタケルのせいだ」と考えてタケルを襲おうとする人間が出てきまして、このあたりは原作のラストを意識してるのかなと思ったのですが、そこでナミダ少年に「ズールが地球を狙うのはタケルさんのせいじゃないんだから、タケルさんがいなくなったらむしろ地球は危ないってことぐらい僕みたいな子供だって分かってるのに」みたいな感じであっさり切り捨てられるという(笑)。


 このように、仲間たちは最序盤を除いて、ほぼ一貫してタケルを信頼して「仲間」だと思っています。このあたりが原作の『マーズ』と徹底的に違う部分だったりします。


 が! ここで「巨大ロボットアニメ」として見た場合に、どうして原作を引きずってしまったのかという問題点があります。六神ロボって、ガイヤー以外は無人機なんですよ。六体もいるのに、パイロットはタケルひとり。


 普通の巨大ロボットアニメなら、キャプテンがスフィンクス、ナオトがウラヌス、ミカがタイタン、アキラがラー、ナミダ少年がシンに乗って六神合体だろうと!(笑)


 このあたり、実はドラマ性はタケルに集中していて、仲間たちは置いてけぼりになる展開も結構あったりはしたんですよね。だから、ロボもドラマ性もタケルに集中してる。このあたりは、原作の孤独なヒーローを引きずってる気がするものの、結果的には正解なのかなとは思います。


 ただねえ、六体もロボがいるのに無人機ばかりで、正直ガイヤー以外の五体は合体時に呼び出される以外は空気もいいところだったりするんですよ。巨大ロボットアニメとしてどうよ、それ?(笑)


 名作だと認めつつも、そこはどうしてもモヤモヤする部分なんですよねえ。


 そのほかの重要キャラとしては、タケルの義母である明神みょうじん静子しずこもいます。クラッシャー隊の世話係になって、タケルを支えるほか、隊員たちにも母親のように慕われます。この人が、前にも書いたようにギシン星編では敵に誘拐されるというヒロイン業務をやってしまうんですね(笑)……って、Wiki読んだら大塚長官も一緒に誘拐されてたっぽいんですが、覚えてない(笑)。


 敵としては、ズール皇帝が第一部と第三部でのラスボスになります。第一部で倒されたはずなのに、第三部で復活するという。声優は納谷なや「ショッカー大首領」悟朗ごろう御大。悪ボスとしてはショッカー大首領なので不足無しですし、沖田艦長もやってるんですが、やっぱり銭形警部の印象が強いんだよなあ(笑)。


 とにかく、強面でえらく強そうな感じがあるラスボスでした。第三部では己の分身体にタケルを狙わせる一方で、デビルリングという生命力を奪う腕輪でタケルを衰弱死に追い込もうとしたりしていました。


 第二部のみ、マルメロ星の独裁者ギロンがラスボスなのですが、その娘であるフローレが第二部ヒロインになります。


 そうそう、大事な事書くの忘れてましたが、タケルはじめ、本作でロボを操るのは超能力者だけです。マーグのほか、ギシン星の工作員も超能力者だけで、当然ロゼも超能力者になります。ギロンもフローレも超能力者なのですが、マルメロ星では「プラス超能力者」と「マイナス超能力者」があって、マイナス超能力者は迫害されているのですが、父ギロンがプラス超能力者だったのに、娘のフローレがマイナス超能力者だったので、実の父に追われているのです。


 このフローレを軸に、マルメロ星の独裁者ギロンを倒すというのが第二部のメインストーリーになるのですが、そこにマルメロ星の反体制運動の指導者ガッシュがからんでくるという複雑なストーリーになります。フローレは父に追われる立場なのですが、反体制側からすると独裁者の娘だというので、最初は命を狙っていました。それが、やがて和解して、ガッシュが戦死したのちにはフローレが反体制勢力のリーダーとして立つことになるという。


 この流れの中で、地球政府はほかの星の内政問題だからと及び腰だったりするのですが、やがてマルメロ星との全面戦争に巻き込まれていったり。


 このあたりの重厚なストーリー展開は、ボルテスVより一段複雑性が増していましたが、ガンダムの再放送を通過したあとだと分かるようになっていたんですね。


 地球側の宇宙艦隊とかも出てきて、マルメロ星のロボには勝てないのですが、ほかの雑魚戦闘機とか相手だとそこそこは健闘してたり。


 結局、フローレがギロンを倒して第二部は終わります。


 いや、面白い話ではあったんですよ。ただ、第二部ってどう考えても主人公はフローレで、タケルって物語のポジションで言うと「頼りになる助っ人」なんですよね(笑)。


 まあ、その分、第三部「地球編」ではタケル中心の濃厚なドラマが展開されることになるのですが。


 第三部で、タケルの助っ人に現れる謎の戦士「バラの騎士」の正体は、前にも書いたように実兄マーグが憑依したロゼです。結局のところ、ゴッドマーズのドラマ性の中心というのは、この三人が愛憎を乗り越えてズールという巨悪に立ち向かっていくということになるのかなあと思ったり。


 んで、タケルとロゼの憎悪も愛も、結局はマーグが中心に入っているという微妙な三角関係だったり(笑)。そりゃ、腐女子のお姉様大喜びになるワケだよなあ(笑)。


 最後にゴッドマーズ独自のSF設定で面白かったものについて一言だけ。ワープカタパルトという、単体でワープ機能が無い宇宙船やロボを長距離ワープさせる設備が出てきます。これ、原理的にはヤマトの瞬間物質移送機と同じような感じですが、瞬間物質移送機が短距離転送なのに対して恒星間転送ができます。ワープ機能が地上設備なんですね。面白いなあと思ったものの、一方通行なんで、転送先にもワープカタパルトがないと帰れないという(笑)。まあ、作中ではワープカタパルトを持っているギシン星に向けて送り出したので問題はないのですが。


 これ、私の記憶だと、ギシン星の前線基地を破壊したあとで、そこにあったワープカタパルトを元に地球側が完成させたと思っていたんですが、再放送のときに見てみたら地球側が独自技術で完成させていました。何か変な記憶違いしてたなあと不思議に思ったものです。


 そうそう、ゴッドマーズの玩具で、プラモデルは持ってなかったんですが、ゴム製(ガン消しやキン消しと同じ材質)の大型人形は持ってました。手足や首は差し替えでしたが六神ロボに分離もできるという優れものだったんですよ。


 あ、あとオープニングもエンディングも名曲で、エンディングもカラオケで歌われるのは結構珍しいんですが、徹カラではみんな歌ってましたね。あとオープニングの「六神合たーい!」は誰が歌っていようと全員合唱がデフォルト(笑)。


 長々と書いてきましたが、ゴッドマーズはここまで。ああ、4回で終わって良かった(笑)。次はダグラムになるかな。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る