第47話 戦国魔神ゴーショーグン(1981年)

 今回は戦国魔神ゴーショーグンに行きましょう。葦プロ制作ロボットアニメとしては『バルディオス』の次に作られたものですが、バルディオスが惜しいところで怪作止まりだったのに、本作は名作と呼ばれる作品となりました。


 とはいえ、これもリアルタイム視聴の記憶と二次資料がメインなのですが、二次資料の方にメイン脚本家首藤しゅどう剛志たけしが書いた小説が入ってきたりします。また、私が遊んでいた頃のスパロボにも参戦しているので、そちらの印象も強かったりします。


 まずロボについてなのですが、主役ロボのゴーショーグンには、はっきり言ってロボとしての面白みは全然ありません。トライスリーという小型ロボは三機の戦闘機が合体して完成するのですが、そいつがいちいち分離してゴーショーグンの胴体内と脚部に収納されるだけという。つまり、ゴーショーグン自体のギミックとしては、胴体と脚部に空洞があるだけ(笑)。そして、小型ロボのトライスリーもあまりカッコ良くないし、作中でも活躍してた記憶が無い(笑)。私がやってた頃のスパロボでも初登場デモ以外はオミットされてるくらいです(笑)。


 ただ、こいつは必殺武器――むしろ必殺技というべきか――のゴーフラッシャーが面白いんです。初期段階では普通に敵ロボを破壊するだけだったんですが、メイン動力源の謎エネルギー「ビムラー」が成長するに従って能力が変わったんです。放った敵ロボに自我を目覚めさせ、自我が目覚めた敵ロボは己の存在に苦悩して自爆してしまうという(笑)。ただ、私がやっていた頃のスパロボだと、初期段階のやつしか使えなかったので、ただの必殺技でした。


 デザインは戦国魔神の名にふさわしく戦国の鎧武者風でなかなかカッコ良いロボでした。タカトクトイス販売の玩具ではゴーフラッシャーも固体化して再現されており、ギミックも単純なのでCMで見る限りでは再現性は高そうに思ました。ただ、正直欲しくはなかったなあ(笑)。スパロボ参戦回数が多いので知名度と人気がある割には超合金魂になってないのは、やっぱりロボとしての面白みが足りないからでしょう。


 とまあ、正直「つまらない」ロボを補って余り有るのが個性あるキャラクターたちで、特に敵役であるはずの悪の組織「ドクーガ」の三幹部が非常に面白くて魅力的だったりします。


 いわゆる美形悪役キャラにあたるブンドルは「美しい」「美しくない」が価値基準のキザ男なんですが、その美に対するこだわりがギャグになってるので、本人的には大真面目なのに見てて笑えるというタイプ。声優が塩沢しおざわ兼人かねとで、この役のあと美形キャラを演じることが多くなったという。


 ケルナグールは見た目からしてフランケンシュタインの怪物系なんですが、すごい美人の奥さんがいて、ケルナグール・フライドチキンという世界的ファストフードチェーンの経営をしているという。怪物的な容貌のくせに美人の奥さんと一緒に自社コマーシャルにも出演してるんですが、Wiki見てみたら元はボクシングの世界チャンピオンだそうで、元から知名度あったのね(笑)。


 三幹部最後のひとりカットナルは、本編終了後の小説版とか、OVA『時の異邦人エトランゼ』などではアメリア国大統領(要するにアメリカ大統領)に就任するとか、大出世してたりします。こいつも大企業経営者。


 ドクーガって悪の組織の割には、幹部が別に本業持ってて、そっちで真面目に稼いでたりするところが面白いところです。失敗も金で補填すれば許されるみたいなところもあったというのですが、残念ながらそこは記憶に無いんですよね。


 こういったコメディタッチな部分があったことは覚えてるんですけど、個別エピソードは覚えてないんです。ああ、でもケルナグールが奥さんの写真を、カットナルがお母さんの写真をそれぞれ「美人だ」とブンドルに見せて、それらを見たブンドルが憮然として「う、美しい」と認めていたシーンは覚えてるなあ(笑)。


 逆に、ゴーショーグンチーム側は小粋でカッコ良いキャラが多かったという印象の割には、個別エピソードが記憶に残ってないという。


 ただ、一番強烈に印象に残ってるのは、事実上の主人公であるケン太少年が最終回で最終段階に進化した超エネルギー「ビムラー」と一体化してゴーショーグンと共に宇宙に向かって飛び立っていくというシーンです。


 正直、ガンダムが分かりにくく描いてた「人類の進化」みたいなのを、ビジュアル的に非常に分かりやすく描いた名シーンだなあとか思ったり。


 前作『バルディオス』が、シリアスなストーリーラインで中高生といったハイターゲットを狙って失敗したのに対して、本作では子供にも分かるコメディタッチの中にハイターゲットをくすぐる「大人っぽい雰囲気」を混ぜ込んで成功したんじゃないかと思います。


 ロボットアニメとしては正直どうよ、と思えなくもないんですが、ゴーショーグンが出てこないOVAや続編小説などの関連商品が売れたというのは、ハイターゲット狙いではそっちの方が正しい戦略だったのかなと思えます。


 スパロボでも小粋な会話でカッコ良さを演出していましたね。それでは今回はこれで締めましょう。「シーユーアゲイン!」(笑)。

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