第44話 ゴールドライタン(1981-82年)

 「ゴールドクラーッシュ!!」ということで、黄金戦士ゴールドライタンの登場です。これ「黄金戦士」ってオープニングでも入ってますし、玩具のパッケージとかにも入ってるんですが、正式にタイトルに付いたのって再放送以降なんですよ。なので「太陽の使者」とかと同じでタイトルに付けておりません。同じ伝でゴーディアンも「分身合体」が付くことがあるんですが、こいつには最初から「闘士」って付いてるからなあ(笑)。


 こいつについては、ほぼ完全にリアルタイムの記憶と二次資料での記述しか印象がありません。再放送はリアルタイム直後にやってたのを見ただけなんで、ほぼリアルタイムの記憶と重なっています。スパロボにも参戦してないし。


 何が画期的かって、こいつ『トランスフォーマー』より前に超ロボット生命体で味方ロボ軍団が居るんですよ。操縦者がいない、本人が意思をもった巨大ロボだったりします。これより前には特撮ならジャイアントロボとか大鉄人17、あとマグマ大使(笑)とかがいますけど、アニメの主人公巨大ロボとしては初です。ことさらに「主人公巨大ロボ」って書いたのは、先に書いた太陽の使者の方の鉄人のブラックオックスとか、もっと古くはマジンガーのミネルバXとかラインX1(原作だとドナウα1)とか、主人公でない巨大ロボなら前例はあるからです。


 ……って書いたあとで、次話書いてた最後の最後で自我を持った主人公巨大ロボというと『ヤットデタマン』の大巨人だいきょじんの方がわずかながら先(ゴールドライタンは三月放送開始に対してヤットデタマンは二月放送開始)に気付きました。恐るべし、大巨人(笑)。


 そして、普段は手の平サイズの超小型ロボだったりします。しかも、この状態のときはバンクシーン無しでカシャっと即座に変形するという。この点でもトランスフォーマーの先駆けだったりします。まあ、レインボーロードってのを通って巨大化するときは、普通にバンクシーンで長い時間かけて変形するんですが(笑)。そうすると身長三十メートル体重三百トンの巨大ロボになります。質量保存の法則? こいつメカ次元って異次元の出身だから、そこの超科学で何とかしてるんでしょ(笑)。


 何しろ、こいつの必殺技「ゴールドクラッシュ」は、前に書いたあの「アポロンデストロイ」と並ぶ超理論必殺技ですから(笑)。技としては単なる抜き手(プロレス技でいうとアブドーラ・ザ・ブッチャーの「地獄突き」)でしかないんですが、手が「ひとつの原子になってるので破壊不能」という(笑)。Wikiだと「分子(モノポール)」って書いてありましたが、私の記憶だと「原子」って言ってたんですよ。敵側がゴールドライタンの必殺技を分析しているときの会話です。


 武器は無いので戦闘はほぼ素手格闘という鉄人とならぶ無芸ロボなんですが、巨大化したり変形したりというギミックがあるので、あまり無芸には見えません。


 そして、こいつの変形が基本的に頭と腕と足を折りたたんで四角くなるだけなんですが、変形したライター形状が「いかにも」高級ライターくさいので、当時としては欲しがる子供が続出したという。ええ、こいつは弟と一緒に軍団買いそろえましたよ。


 主人公ロボのゴールドライタンは私だったかなあ。スコープライタン(ゴールドバージョン)とデンジライタンを弟が、メカニックライタンを私が買って、あとで弟がアイシーライタンを買い足したのかな。正規ライタン軍団の中でタイムライタンだけ無かった。アイシーライタンは当時のカタログの中で既に「発売中止」って書いてあって落胆してたんですが、アニメ終了後にアニメに出てない第二次ライタン軍団が発売されたときに一緒に追加発売されたという。ほかのライタン軍団が、カラーリングを除いてだいたいアニメ本編に忠実なデザインだったのに対して、アイシーライタンだけは表面にIC基板みたいな模様がプリントされてたっけ。


 そう、こいつ玩具が売れに売れまくったせいか、アニメ本編に出てない玩具オリジナルのライタン軍団が販売されたんですよ。当時、まだMSVは出てなかったものの、既にガンダムで本編未登場の水陸両用MSのプラモは発売してたような気がします。そんなオリジナル展開しちゃうくらい、受けたんですよねえ。


 ゴールドライタンの変形を見ると、明らかに玩具デザイナー村上克司の特徴が出てますね。前の大鉄人17や、後のサイコガンダムと一緒。胴体前面の装甲を開いて腕を胸部や腹部に収納し、足を体育座り型に圧縮して折りたたむことで四角形になるという基本コンセプトが共通なんです。前に書いた太陽の使者版の鉄人のリファインもやってたり、宇宙刑事ギャバンの基本デザインもやったりしているので、村上克司は我々の年代のアニメや特撮を語る上で外せないキーパーソンだと思います。


 ライタン軍団はだいたいアニメに忠実に再現されてるんですが、スコープライタンとタイムライタンは本来は銀色なのに、金色になってます。スコープライタンはアニメ版準拠の銀色が出てたのに、ゴールドライタンに合わせて金色のを出したらそっちの方が売れちゃったんで、タイムライタンは金色しか出なかったという(笑)。はるか後年に超合金魂のゴールドライタンが出たのに合わせて再販された際にはじめて銀色バージョンが出たんですよ。


 で、このライタン軍団って、主人公のゴールドライタン以外は、何らかのギミックが付いてたという。スコープライタンは簡易望遠鏡になって遠くが見える。タイムライタンは首が回って簡易タイマーになる。デンジライタンは方位磁石と拡大鏡が付いてるほか、実用性はないけど地図も付いてる。メカニックライタンは、やっぱり実用性はないけど手のドライバーをいろいろ差し替えられる。


 アイシーライタンが発売中止になったのは、そういうギミックの搭載に失敗したからだという説を最近読みましたが、結局目の部分にライトを搭載するというギミックで第二次シリーズと一緒に販売されました。こいつだけは本体前面のIC基盤プリント以外はアニメ版に忠実な黒と銀のツートンカラーでしたね。


 んで、こいつらの質感がめちゃくちゃ良かった! 黒部分をプラスティックにせざるを得なかったアイシーライタンを除くと、ライター形態はほぼ全体が金属で覆われるという。小さいのに、手に持つとずっしり重い。また、カラーリングの金も全然安っぽくなくて、凄く高級感がありました。


 変形はアニメ版に忠実で、変形後のプロポーションも悪くありませんでした。さすがに可動部分は少なかったんですが、逆にいうと難点はそこと、ゴールドライタンの腕の先だけ黒になっていた点と、手が拳だけしか付いていなくて必殺技ゴールドクラッシュの再現性が無かった点ぐらいしかありませんでした。後年の超合金魂版は、そこをきっちり改良していましたね。


 なお、この当時のロボの常として手の先は飛んでしまうんですが、アニメ版で一回だけゴールドクラッシュをぶち込んだ後に手の先を飛ばしたことがあります。あれは今にして思えば玩具に合わせる形でアニメの方で使わせたんじゃないかという疑惑が(笑)。


 そういや、こいつは弟がプラモも持ってたなあ。少しデカいサイズで、完全変形でした。あと、ガチャガチャ系で小さなプラモもありました。変形時に頭部を収納するために胸の凹みがあるやつ。こっちはライタン軍団も出てたような記憶が。


 とまあ、玩具だけで二千字語れる作品だったりするんですが、同じタツノコプロ制作でも前作ゴーディアンと違うのは、内容的にも結構語れるという点でしょうか。わずか一~二年しか違わないのに、こっちは覚えてるんですよ。


 一番印象的だったエピソードは、上記六人以外に「コンピューライタン」という弟分がゲストで出てきたときの話です。まだ「幼い」ので戦闘力が低く敵に捕まって利用されてしまうんですが、最期はラスボスに特攻して自爆するという。こいつが居たことで、メカ次元にはライタンたちの仲間がほかにも居るというのが作中で明示されたんで、あとでオリジナルライタン軍団の玩具が出ても「コンピューライタンと同じでメカ次元に居たんだろうな」みたいに納得できたという。


 メカを食う敵が出てきたことがあって、外部装甲を喰い破られて体内に侵入されて、普段はメカを修理する役のメカニックライタンがパニックになってるなんてシーンも覚えてるなあ。


 ゴールドライタンの必殺技は通常は前記のゴールドクラッシュなんですが、ときどきライタン軍団と合体技を披露することもあって、何か全員でライター状になってくっついて、ゴールドライアンだけ上半身ロボ形態で突撃した「ライタン・トレイン・アロー」とかいう技があったのを見た覚えがあります。このあたり、完全に記憶頼りなんで、いくつかの技がくっついてたり、名前が間違ってる可能性もあります。ググってもあまり出てこないんだよ。


 ロボ側に軍団がいるなら、それに協力する少年たちもグループだったりするんですが……Wiki読んで見て、主人公のヒロ少年の声優が井上「セイラ・マス」遙で、いちおうヒロイン格になるはずのエミーの声優が島津「フォウ・ムラサメ」冴子というのに驚愕したり。ほかにも三ツ矢雄二とか間嶋「ミハル・ラトキエ」里美もレギュラーだったりと、超豪華じゃねえか! ちなみに、この人たちライタン軍団の声優も兼任してます(笑)。


 敵側は「イバルダ大王」というなかなかに素敵な名前のラスボスの下に、ウヨッカー、サヨッカー、マンナッカーという名前にツッコみどころしかない三大幹部がいたりするんですが……このうちマンナッカーが「戦いには二つの正義がある」とか結構名言吐いてたりするんで侮れなかったり。


 ちなみに、イバルダ大王は途中でゴールドライタンに倒されるんですが、それを影で操っていた「ミスターメカエックス」という真のラスボスが姿を現したり。そのときの「コインの表を裏でくか。ならばコインの裏を裏でどうく?」とか、なかなかカッコ良いセリフを吐いたりしてくれてるのですよ。


 なお、オープニング主題歌「黄金戦士ゴールドライタン」とエンディング「メカニカル・ダンシング・ファイト」は山本正之作曲で、どっちも名曲です。特にオープニングの燃えロボソングっぷりは素晴らしく、カラオケの定番でした。ただ、販売元がビクター音産だったせいか長らくCD化がされてなかったので、大学時代に「ゴールドライタン初CD化」みたいな触れ込みのアニソンアンソロCDが出たときにはサークル仲間と「これは買わないといかんだろう!」と盛り上がって、友好団体だったアニ研の女子に呆れられてたという(笑)。


 本当にリアルタイムの頃の記憶だけで書いてますが、それでこれだけ書けるんだから、いかに名作だったかということがわかるでしょう。休みで書く時間たっぷりあったせいか、普段より多めに時間使って過去最長の四千三百字にもなっちゃいましたよ(笑)。


 次回はゴライオンにしようかな。これは短めになりそうです。

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