第42話 鉄人28号(1980-81年)
さてさて、いよいよやって参りました「太陽の使者」鉄人28号、またの名を80年版の登場でございます。「太陽の使者」というのは主題歌のタイトルに入っているんですが、正式タイトルとして冠されていたものではありません。WikiによるとLD販売時にオリジナルシリーズとの差別化のために冠されたのが一般化したようです。
もちろん、オリジナルの『鉄人28号』アニメ版は昭和三十八年、1963年の制作です。元祖巨大ロボ。今日もなお愛され続ける横山光輝大先生の名作です。
しっかぁーしッ! 我らアラフォー世代にとって『鉄人28号』とは、あの寸胴で黒目があって「ガオーッ!」と叫ぶ、あのオリジナル鉄人28号ではないのですよ!!
我らの心の中の鉄人は、こちら! 「太陽エネルギー変換システム」によって事実上無限にあるクリーンエネルギー「太陽エネルギー」で動き、「独立連動システム」によって腕や足、さらには頭部を破壊されても性能を落とさずに戦い続けることができ、「ビジョンコントローラー」(略称
身長二十メートルの巨体、西洋の騎士を思わせるスマートな風貌、渋い紺色の機体に燦然と輝く「28」の黄色い文字!!
それが、無敵のスーパーロボット「太陽の使者」鉄人28号なのです!!
これは、リアルタイムでは途中から見てました。その当時に出てたフィルムコミックスの第一巻、第4話まで収録されているやつを読んだときには、知ってる話が無かったんで、第4話までは見てない。んで、後年CS放送で全話見直したんですが、正太郎君の愛車クリッパーが初登場する回は見た覚えがあったんですが、これが何と第5話(笑)。そっか、開始1か月後から見てたんだな。
というわけで、こいつはリアルタイムでの記憶を、後年CS放送で補完しましたが、ほとんど記憶の印象に違いがなかったという。あと、上記フィルムコミックと、前にゴーディアンのところで書いた超合金系の絵本も覚えてますね。残念ながら、私が遊んでいた頃のスパロボには参戦していませんでした。
こいつは、ロボとしての機能は、ほぼオリジナルの鉄人と同じで、武器なんぞ持ってません。ハンマーパンチをクロスカウンターで入れたり、飛び上がって空手式の跳び蹴り(というか、フォーム的にはライダーキック)をぶちかますフライングキックが必殺技という芸の無さ(笑)。ああ、目にサーチライトが付いてたなあ。あと、背中のジェットエンジンが起動するときに、わずかに翼みたいなものが展開したりするギミックがあったか。
しかしながら、デザインがシンプルなので、よく動くんですわ、こいつ。その点においては、後番組の主役ロボ、デザインが複雑すぎて動けないゴッドマーズと好対照だったり(笑)。
そのせいで、玩具では腕が飛んだりとか、頭の飾りが外れて斧になったりとか、胸が開いてミサイル発射装置――ってんですが、どう考えても透視図にあった主動力炉「太陽エネルギー変換システム」からミサイル飛ばしてるという(笑)――が出たりとか、足にサポートロボの
しかし、しかぁし! そんなのは余計だ!! と断言できるくらいに、玩具の造形が良かった!! しかも、当時「超合金」と称しながら、実際に使われてるダイキャスト合金部分がどんどん減ってたのに、こいつの玩具は正に「鉄人」の名に恥じないくらいに大量にダイキャスト合金が使われてて、手に持ったときの重量感が凄かった!!
それでいて、安全性にも配慮がされていて、あの特徴的なとんがり鼻は硬質ゴムになってたりしたんですよ。
こいつは、まちがいなく当時のマイ・ベスト・フェイバリット超合金でしたね。
そして、弟が持ってたのが、Vコンの玩具。プラスチック製で、アニメ版の設定に比べると薄っぺらいし、色も全然違うし、コントロールスティックのボタンも押せないんですけど、それでもコントロールスティックが動かせて、鉄人を操縦する気分になれた。これは、実にいい玩具でした。
あ、そうだ七百円くらいのプラモも持ってたなあ。二回同じのを買い直した気がする。こいつもプロポーションがよくて、なかなか良いできでした。
あと、何か内蔵メカを再現した、ものすごく高い玩具もあって、こいつはルーブル美術館にも所蔵されてるそうなんですが、さすがに私の周囲で持ってる人を見かけたことはありませんでした(笑)。
そして、こいつはストーリーも良かったんです。今となっては色々とツッコみどころも当然ながらあるんですが、第1話で正太郎君は
それでいて、鉄人の基本である「リモコン次第で正義にも悪にも、敵にも味方にもなる」というポイントはしっかり抑えてて、いきなり第2話で鉄人が奪われたりとか、偽鉄人の回とかも主眼は鉄人のリモコンすり替えになってたりとか、ストーリーライン上でもしっかりと描かれていました。
主要キャラでいうと、やはり「大塚警部」。ほかでは「大塚署長」であることが多いんですが、本作だと「大塚警部」なんですよ。ICPOの捜査官なんで。本作とルパンの銭形警部のおかげで、ICPOの捜査官というと警部というイメージが……ってぇ、本作の制作会社は東京ムービー新社、今日のトムス・エンタテインメントで、つまりはルパンと一緒! そりゃ「大塚警部」になるわな(笑)。
敷島博士はカッコいいナイスミドルなんですが、本作では妻子持ちで、娘のマッキー(本名、敷島牧子)が正太郎君のガールフレンドとしてヒロイン扱いだったりします(笑)。伝統に忠実な万能博士ですね。
あと、本作では鉄人の格納庫は敷島邸のテニスコートの地下だったりするので、発進のときにテニスボールが転がり落ちたりしています(笑)。
そして、忘れちゃいけないのがブラックオックス! 本作では「意志を持ったロボ」として登場し、最初は敵対するものの鉄人の味方になるという感じで、ライバルというよりは味方ロボ感が強い印象です。
ただ、何と言ってもこいつは、宇宙魔王が攻めてきたときに鉄人をかばって爆発に巻き込まれ、ラストにフェイスマスクの残骸が落ちてくるという最期が強烈に印象に残っています。
中盤までは固定の敵はおらず、正太郎君の父親を殺したドン・ブランチというマフィアの親玉が準レギュラー悪役として頑張ってたんですが、終盤に宇宙魔王が攻めてきた時点であえなく死亡(笑)。それ以降は地球侵略を狙う宇宙魔王との戦いがメインのストーリーになります。
終盤戦では、宇宙魔王の王子と正太郎君の友情なんてのも描かれたりしましたが、CSで見直してみたら意外にあっさり風味だったんで、このエピソードの部分は記憶によって美化されてたようです。ほかは比較的記憶通りだったんだけどなあ。
正直、宇宙魔王が出てきたときにはリアルタイムでも「鉄人の世界観に合わねえ!」とか思ったものですが(笑)、最終回まできっちりとストーリーが盛り上がって終わったので、見終わったあとにはマイナスの印象は残ってません。
それから、SF設定が何というか「手が届く未来」って感じで、リアリティがあったんですよ。衛星軌道上に太陽電池を展開して地上にマイクロウェーブ送信する発電施設とか、スペースシャトルで宇宙ステーションへ行くだとか、リニアモーターカーの新幹線だとか。設定上は十年後の90年代を想定してたらしいんですが、これ三十八年後の2018年になってみると、実際にリニアモーターカーは建設が始まってるし、太陽電池とマイクロウェーブ送信はガチで検討されてるし、スペースシャトルは退役したけどスペースXのロケットは試験飛行に成功してるしと、何か本当に現実味が出てきてるんですよねえ。
あと、主題歌「太陽の使者 鉄人28号」は非常な名曲でなんですが、販社がテイチクなもんでコロムビアの主題歌CD集に入っておらず、長年やたらと音程が変な海賊版カセットテープ――これが、ガチで別曲としか思えないような凄い音程なんだ(笑)――を聴いてました。後年アンソロCDに収録されたのを入手して感涙したもんです。
同じ頃に『鉄腕アトム』もリメイクされてました(アトラスが出るバージョン)が、こっちも名作でした。また『サイボーグ009』も「誰がために」が主題歌の第二期TVシリーズが作成されるなど、ほぼリアルタイムでヤマトやガンダム、ガッチャマンやタイムボカンを見られただけでなく、過去の名作の良作リメイクや続編を見られたという意味で、我々の年代はつくづく恵まれていたんだなあと思います。
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