第12話 超電磁ロボ コン・バトラーV(1976-77年)
さてさて、来ましたコン・バトラー
はっきり言って、超々メジャー作品です。その身長と体重についてはエンディングで高らかに歌われているため、五十七メートル、五百五十トンであることを知っている人は多いでしょう。
また、初の本格的変形合体ロボでもあります。ジーグはバラバラになったパーツが撃ち出されて合体する、ガイキングが胸以外は腕と頭部パーツ、脚部パーツが撃ち出されて合体するだけなのに対して、コンVは五機の独立したメカが変形しながら合体することで完成するロボなのです。しかも、それが玩具でほぼ完全再現されたという点において、非常に画期的なロボで、まさにエポックメイキングと言うのにふさわしい存在でした。
惜しむらくは、その代償として、放送当時の玩具はロボ形態のプロポーションが悪いということがあります。また、玩具としては異常に高価になったため、買って貰える子供はそう多くはありませんでした。ええ、私も涙を飲んだくちです(笑)。
後年、二次資料で読んだところによると、合体後の強度にも問題があったのでゴムベルトで補強したということもあるそうですが、持ってなかったし、友達も五機全部揃えてたヤツなんていなかったから、合体形態なんてテレビのCMでしか見たことないから、そんなこと子供の頃は知らんがな(笑)。
ロボのデザイン的にも非常に画期的なポイントがあります。それまでのロボは、鉄人28号をはじめ、ジャイアントロボも、アストロガンガーも、マジンガーもゲッターも、ポセイドンもレッドバロンも、ほぼすべて「円柱」デザインだったんです。腕も胴体も断面は丸みを帯びていた。
ところが、コンVは「角柱」デザインです。断面が四角いんです。玩具化のことを考えると利便性が高いのか、これ以降の主役ロボはほぼ角柱デザインになります。まあ、当初は玩具化を考えていなかった敵ロボのザクなんかは、脚部が丸みを帯びていますけど。
そして、もうひとつ画期的なのは必殺技コンボを導入したことです。まず「超電磁タツマキ」を放って相手の動きを止め、そこへ「超電磁スピン」で体当たり攻撃をかけてトドメを刺す! この一連のムーブがムチャクチャカッコ良かったんです。また、非常に合理的で説得力もありました。『水戸黄門』の印籠と同じで「これが出たら決まり」のカタルシスがあったんです。
そして、これはアニメ制作上でも利便性の高い手法でした。この必殺技モーションは結構長いので、使い回しの出来るバンクフィルム部分が長くなるんです。合体シーンのバンクフィルムと合わせて、結構な分数を節約できたんじゃないかと思います。
その反面、これが便利すぎるせいで多用され、これ以降「合体シーンが長い」「必殺技がワンパターン」という批判を浴びる作品が多々出てくることになるんですが(笑)。
ただ、この超電磁スピンは玩具で再現するのには無理があるポーズを取っており、放送当時の玩具では再現されていませんでした。後年、超合金魂で再現されたときに感涙したおっちゃんは多かったはずです。ええ、私も買いましたとも!(笑)
ロボ的な部分でいうと、コンVは必殺技以外の武装もえらく多彩です。一回こっきりしか使われなかった使い捨て武器も結構あり、スパロボでも武器欄に山ほど選択肢が並びます。
ただ、その中でメジャーなものというと、やはり超電磁ヨーヨーでしょう。当時のヨーヨーブームを反映したユニークな武器で、ほかにヨーヨーを武器にしてるヒーロー(ヒロイン)なんてスケバン
あと、使われた回数が少ない必殺技としてグランダッシャーというのがあります。これは当時の玩具で再現できる形の体当たり攻撃なんですが、正直言って、あまりカッコ良い技ではありませんでした。
とまあ、ロボについてだけでも語れることが山ほどある作品なんですが、ストーリー面でも見るべきものが結構あります。
ロボの合体ギミックとして「五人の脳波が一致しないと合体できない」というのがあります。後年になると「脳波が一致ってどういうことじゃい!?」とツッコみを入れるようになる設定ですが、リアルタイムで見てた頃は「そうなんだー」としか思っていませんでした(笑)。このため、ケンカしてると合体できないというのがストーリー上のキモになってたりします。また、マスコットロボのロペットが脳波検知を行うので、他の作品ではにぎやかしでしかないマスコットロボに存在意義があります。
そしてヒロイン! 本作のヒロイン
それまでの、「ヒロインは前座扱い」を初めて脱却した存在と言えるでしょう。また、ミニスカのパイロットスーツと、安彦良和によるキャラデザ(Wikiによるとアニメ版のみとあるのですが、初期デザインを安彦良和がリファインしたということでしょうか?)も相まって、非常に魅力的なキャラになっています。偽者のちずるが南原コネクションに潜入するなんて話もあったなあ。
ちなみにコンVを構成する五機のメカに乗るチームは、主人公、ライバル、力持ちのデブ、ヒロイン、チビと「ガッチャマンフォーマット」にのっとっています。
ストーリー面で言うと、ロボ製作者でヒロインの父の南原博士がいきなり戦死したり、主人公
しかし、本作で一番ストーリー的に話題になるのは、何と言っても前半のライバルキャラ、大将軍ガルーダの悲劇についてでしょう。
いわゆる美形悪役なのですが、序盤では単に顔が良いだけで、普通に侵略者キャンベル星人側の前線指揮官をやってるだけでした。ところが前半クライマックスに、とんでもないドラマがありました。
ガルーダ本人は自分自身をキャンベル星人だと思っていたのに、側近のロボ娘ミーアが壊れかけたのを救おうとロボ工場に乗り込んだところ、何と自分のプロトタイプが山ほど置かれているのを発見し、自分がアンドロイドだったことを知らされたのです。それによって、自分のアイデンティティが崩壊したガルーダは、上司であり母親だと思っていた女帝オレアナに反逆して倒します。そして正々堂々とコンバトラーに挑んで敗れ、
この「悪側のドラマ」は実に衝撃的でした。ほかのアニメでは既に「ヤマト」などで一部見られていましたが、これ以降、ロボットアニメでも悪側も類型的に悪として描くのではなく、ドラマを持たせ、人間的な厚みを出していくというストーリーが作られるようになる大きなきっかけになったのではないかと思います。インパクトの大きさから、当然のようにスパロボでもイベント再現されています。
もっとも、このせいでコンVの敵というとガルーダの印象が強く、後半の女帝ジャネラ一味の印象が薄かったりするのですが(笑)。
最終回では、急にキャンベル星で政変が起こって侵略中止という話になり、それに怒ったジャネラが地球破壊爆弾を使ったりしたのですが、それもキャンベル星の使者の力で阻止されるなど、何だか急転直下な終わり方をしたなあという印象は強くあります。
その反省からか、次作『超電磁マシーン ボルテス
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