元旦の轟音
@toipptakosan11
轟音
突如一閃の光がカーテン越しの空に走った。
言うまでもなく雷だ。数秒後。光よりもかなり遅いそれは暗闇の僕を震え上がらせた。11歳になった私だ。なんて話だ。この歳でまだ雷が怖いなんて。しかし、今日はまだ平気だ。なぜなら父、母、姉、そして私と四人川の字プラス一で寝ているからだ。最初に誤解は避けたいから説明する。普段は寝ない。しかし、祖父母の家に帰ると決まって私たちの部屋が用意されている。しかもそこそこ広く祖父母は私たちが来ると知ればしっかりと布団を人数分用意してくれるのだ。祖父母の家ではあるがもてなされている以上はそこで寝ることが暗黙の了解とまではいかないが嫌だとは言えない。とはいえ嫌でもなんでもない。それくらい私の家族は仲が良い?そんなこんなで私を震え上がらせるものは大きな水の粒を連れてきたらしく外は騒がしい。しかし、眠れないほどでもない。雨なんて日常茶飯事そんなの気にせず寝れるなんて一種の人間の能力だ。しかし、私は寝れない。なぜかって?先程から苦しげな呼吸音が部屋を轟かせているからだ。これは日常茶飯事ではない。これは稀に起こる大事件だ。寝れないのだ。それは地元の空港に来たように思わせる。あのエンジン音。離陸後。胸をしぼめるような轟音。まさにそれだ。一閃の光も怖いのだ。だがこの現象も恐いのだ。助けてくれ。
今年は祖父母のもてなしは少し拒否することにする。私の安眠のために。1月1日午前4時39分私は年頭所感を発表した。
元旦の轟音 @toipptakosan11
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます