内包する腐敗 Ⅱ

展開する日常は

穏やかに過不足なく

慎ましやかな幸福に満ちている


外見そとみは平凡で

なんの悩みもなく

笑顔を絶やさない女に見えるらしい


そう、そんな女に


誰もが他者の内面など知らない

それと同じに

誰もが己れの内面に気づかない


自分は本当に自分なのか

男なのか、女なのか

正常なのか狂ってはいないか


そんな事には目を向けない


日常という回し車をひた走り

身体の奥深くに仕舞い込んだ自己を

確認などしないのだ


ふと落ち込むエアポケットのような

空白の無意識しゅんかん

何を見、思い、企んだとしても


漂う腐敗臭に、素知らぬ顔をして





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