第10条-01-01 著作者人格権

 著作者人格権は前条でも触れたとおり、著作権の中でもコアとなる考え方である。公表権・氏名表示権・同一性保持権の3つからなる。


 著作者人格権は「人格権」と銘打つだけあって、その性質は著作者の精神的側面を保護するためにある。公表権は自由に公表することを著作者に認めることで、勝手に公表されないことをも認める権利だ。氏名表示権は、赤の他人が勝手に自らの著作を「私が作りました」と主張されないことを認める。同一性保持権は、自分が作ったものを勝手にいじくりまわされないことを認めるのだ。


 これらの権利は作品を作った本人だけに与えられる権利であり、譲渡することも売り渡すことも出来ない。有効期間は著作者が生存している間、著者の死亡時点で消滅する。ただし、法律では著作者人格権が消滅したとしても、原則として著作者人格権を侵してはならないとされている。


 たとえ消滅しても侵してはならない。著作者人格権の特殊性がこの言葉に現れている。


 ただし。

 強力な著作者人格権にも例外事項が存在する。

 公表権の例外は、「未発表の著作物」に付随する著作財産権を譲渡した場合、公表権の行使は出来ない。正確に言えば、譲渡先が著作物を公表することを無条件で許諾したことになる。

 氏名表示権は「氏名を表示しないことが著作者の害にならないことが明らかな場合」かつ公正な慣例、つまり一般的な常識の範囲に反しない限りは氏名表示権の侵害には当たらないとされている。

 同一性保持権については、著作物の性質や利用されるシーンなどと照らしあわせて、同一性が保つのが極めて難しい場合、この権利の侵害には当たらない。カクヨム上の世界で考えれば、小説を表示するにあたって、使用されるフォントがある端末では明朝体であるが、別の端末ではゴシック体で表示される、といったケースである。

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