第6条 メールアドレスおよびパスワード

 長々と書いているが、ちゃんと自身で管理しているメールアドレスとパスワードを使ってね、という項目である。


 面白いのは複数アカウント所持についてこの条文で触れていることである。メールアドレス及びパスワードについて規定しているはずのこの条文で、


『複数のアカウントを所持することはできません』


と明記している。はてさて、どうしてこの条文で『会員一人に対して一つ発行される文字列』のことを言及しなければならないのか。必然性が分からない。


 ああ面白かった、で終わってもよいのだが、気をつけないといけない項目が潜んでいる。それはアカウント窃取による操作である。


 第5号では、登録したパスワードでの認証を経た上での『本サービス』の利用によって生じた結果と責任は『会員』にあるとしている。第6号においてはアカウント及びそれに紐づく情報について不正利用がされた場合、運営は責任を負わないとしている。


 それぞれをばらばらに考えれば至極もっともであるが、組み合わせると少々怖い事態になる。第6号ではアカウントの不正使用については運用の責任ではないと言っている。一方で第5号では、登録したパスワードでの認証を経た上でサービスを利用するのであれば、その責任は該当する会員の責任だとしている。


 不正にアカウントを窃取されて、その上で問題のある行動をされてしまったら? 荒らしやもしかしたらアカウントbanの結末に至るかもしれない。本人は何もしていないのに、その責任は全て本人にあるとしているのだ。不正にアカウントを取得・使用した人間ではなく。


 本人が怠けてアカウントを奪えるような状況にしていれば自業自得だが、仮にカクヨムがサイバー攻撃を受けるまたはバグによって情報流出したとしても同じことが適用されるのだ。運営の瑕疵によって情報漏えいしたこととアカウントの不正利用は別の話なので、情報漏えいのペナルティは当然あるとして、だからといってアカウントの救済はない。

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