第1条〜第8条 基本となる条文たち

第1条 定義

 第1条は利用規約上に登場する用語の定義に当てられている。8つの用語に対する定義が明記されている。利用規約の上では一般的な常識や辞書で定義されている言葉の意味よりも優先して解釈されるものである。


 本サービス。

 これを「カクヨム」またはアプリとしての「カクヨム」と解釈するのは正しくない。規約上は『本サイトまたは本アプリを経由して小説を書く、読む、伝えることができるサービス』としている。

 つまり、「カクヨム」またはアプリとしての「カクヨム」というのはランディングページやインターフェースの役割でしかない。その先にある、

・小説を書くこと

・小説を読むこと

・小説を伝えること

を含めて定義しているのである。


 本サイト。ウェブサイトとしての「カクヨム」を指すと明記している。


 本アプリ。

 当社つまりKADOKAWAが提供するアプリとしての「カクヨム」を示すと定義している。この定義が間接的にカクヨムのサードパーティアプリを認めないことを示唆している。

 サードパーティを認めるのであれば、「当社または本サービスに接続する〜」や「当社及びサードパーティ」などといった言い方やそもそも「本アプリ」の定義にKADOKAWAが提供するものを明記する必要がないからである。


 会員。

 これは利用規約第4条にしたがって会員登録した利用者としている。利用規約第4条そのものは後述することにする。


 利用者。

 本サイトを利用するユーザ全体。つまりウェブサイト「カクヨム」のユーザを示している。注目すべきは会員よりも広い定義として位置づけられていること、『本アプリ』のユーザを含まないように定義されていること。

 アプリケーションについて定義しているのに対してユーザを定義していないというのは違和感がある。これはおそらく正しくない定義である。『本サービス』に接続されるものとして『本サイト』と『本アプリ』があるというのに、『本サイト』のユーザのみを定義してしまうのは一般的な思考では正しくない。


 アカウント。

 『会員』一人に対して一つ発行される文字列。これで『本サービス』は『会員』を識別する。一意、あるいはユニークとしていないのは、『会員』が何らかの理由で退会して『アカウント』がなくなった際、その『アカウント』たる文字列を使い回す可能性を残すためではなかろうか。


 投稿作品。

 『会員』が『本サービス』に対して送信、つまり投稿した小説または小説を構成する情報。これは小説を一気に投稿するパターンと、少しずつ連載するパターンを想定しているからこのような書きっぷりになっているのだろう。

 小説を構成する情報、とはなんだろう。それぞれのエピソード、キャッチコピー、あらすじ? ジャンル? ならばそうはっきり書けばいいじゃないか。


 投稿コンテンツ。

 『投稿作品』とは別に定義をされている。近況ノート・星・ハート・レビューコメント・応援コメントを指していると考えたい。「本サービスに送信した近況ノート、投稿作品に対する評価、感想、コメント等」と書いているところ、最低限の要求としては、『本サービス』に送信した情報である。まさか会員登録時に送信した個人情報を『投稿コンテンツ』としていないだろうか?


 本規約の中で使われる定義を確認していったが、この段階で違和感を覚えてしまうのは筆者だけだろうか。用語の定義という、規約の基礎となる部分であるにもかかわらず考慮漏れがあったり不明瞭な言葉で決められていたり、と感じられた。

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