『アームド・スチューデント』
ムミョウ
イントロダクション:彼らの世界
「―最近、巷で流れる噂話を聞いたか?」
「おっと、飛鳥から話を振られるなんて珍しい。どういう内容だ?」
「―神様は人間を滅ぼしたかった。自身の知恵や似姿の一部を与えたにも関わらず、『世界』という箱庭を破壊してばかりだから・・・・・・・。その為に、病気や核という概念を持ち込んだ。でも、その度に人間はしぶとく生き延びた。だから、『インベーダー』を生み出した。自分の意思へ従う尖兵で今度こそ、人間を滅ぼす為に」
2000年1月1日。人々は地球外知的生命体『インベーダー』の襲撃を受ける。この出来事は後に「新世紀の悪夢」と呼ばれた―。
「登校中の小学生まで狙うかね、インベーダーさんよ!」
「彼奴等に人間の道理も通用するまい・・・・・・・大和!」
「ああ、言われなくても助けに行くさ!待ってろよ、坊ちゃん嬢ちゃん!」
だが、それさえも『始まり』に過ぎなかった。インベーダーの飛来回数増加に伴う、「人間の生活圏急襲」や「彼らの地球上における営巣開始」・・・・・・・最早、従来の防衛組織形態で人々を守り抜く事は不可能だった。
「今回の作戦は自衛隊主導で他校等と連携を取りながら『巣』を強襲。周辺区域のインベーダーを一掃する事が目的だ。尚、他校の中には『中学校』も含まれる・・・・・・・普段より、警戒を厳として欲しい」
「インベーダーと交戦しつつ、俺達よりも小さい子を守る・・・・・・・『高度の柔軟性を維持しつつ臨機応変に』って奴かね、これは。・・・・・・・本気出して掛からないとな」
「尚、本作戦に『クラウディウス・コレギウム』が私設武装集団並びに新兵器提供の形で支援を申し出ている。後者に関しては我々へも使用許可は下りたが・・・・・・・『試作型の光学兵器及び推進装置付き防具』・・・・・・・だと?」
「へ?光学兵器に個人用推進装置って・・・・・・・流石、『未来を切り開く企業』としか言葉が出ないぜ・・・・・・・」
地球上の各組織は「相互協力を前提とする」対策に追われた。国連では常設の『国連軍』が結成され、加盟国へ支部を設置した。各企業も生き残りを掛けて『多国籍複合産業体』に変化・合流、新兵器開発や私設武装集団の設立を急いだ。そして、国家や個人レベルでも対応を余儀無くされた。軍隊や警察の重武装化、並びに『個人の武装携帯許可』。誰もが生き延びる為に戦う事を余儀無くされた時代・・・・・・・その中には学生達も居た。
「・・・・・・・私が直接、手を下した星の知的生命体は滅んだ。一体の例外も無く。それでも抗うか?」
「ああ、抗ってやるよ。ついでにしっかりその目へ焼き付けな!」
「何をする気だ」
「アンタに見せてやるのさ!ついぞ見る事が叶わなかったって言う『例外』が生まれる、その瞬間をな!!」
青春時代を「学生」と「防人」の二束草鞋で過ごす・・・・・・・そんな彼らはこう呼ばれた。
『アームド・スチューデント(Armed・Student)』と。
これは我々と良く似た世界で戦い続ける、彼らの日常を記録した物語である。
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