1+1=3になる
カゲトモ
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「あぁ~寒い寒い」
強さを最大にしたコタツにスッポリと肩まで入る。見上げた天井がこんなだったっけと思うのは、引っ越して来てから数えるほどしか帰って来ていないからだ。
両親がここへ引っ越して来た時、俺は既にマスターの店で修業していたし、帰省は年に二回という親不孝者だからだ。
いや、連絡がないのはいい知らせ、的な奴で。と言うか、元々自由な教育方針だったし、うるさく帰ってこいとは言われなかったからだと思うし、そのせいにしとく。
「ミカンあるわよ、食べる?」
「んー食べる」
「近所の友達から美味しいお茶貰ったから、これも入れようか」
「んー」
チラリ、と見えたミカンの段ボール箱には某有名産地の名前が書かれてある。スーパーでも購入できるだろうが、多分あれは産地から送られて来たものだろう。その土地の友達に。
転勤族だった両親は全国に友達がいる。社交的で明るいから。いや、そうならないといけなかったのかもしれないけど。俺にもその血は流れているけど、両親程すぐに溶け込めたりは出来なかった。
だからこそ、あんなに引越ししたのに友達は全国にいるどころか、ほぼいないわけで。
今はもう年齢的なこともあり、転勤はなくこの土地に居座っているらしい。田舎で何にもないけど、人と人の距離が近くて温かい。
そして茶も美味い。
「あれ、父さんは?」
「んー、お宮さんに行ってる」
「へぇ、大変だな」
雪こそ降ってないが、ここは気温が低い。出来ればあんまり外にも出たくないし、出ても遊ぶようなとこないけど。
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