双子ノ魔導師

朱鳥 蒼樹

第0章:プロローグ

第0話:プロローグ



人里離れた山奥。数多くの薬草花が咲き乱れるその地に町と言っても過言ではないぐらいに整備された集落があった。


特殊な結界に守られ、外界からは見ることも叶わないその地に住まうのは一癖も二癖もありそうな魔導師たち。この集落一つが彼らのギルドとして機能しているのだ。


集落の名前は≪アスプロ・コラキ≫、別名「白烏」と呼ばれていた。




アスプロ・コラキの町の小さな喫茶店≪ノクス≫にはたくさんの魔導師が集まる。この建物の二階にギルドの受付が存在するため、仕事を完了した人物の息抜き場所として機能しているからだ。


喫茶店の主はヤカクという凄腕の隠密だ。今は情報屋も兼ねてギルドの運営を影から支えている。


このギルドには明確な長はおらず、何人かの評議委員の合議制で運営方針を決めている。私腹を肥やす権力者たちに愛想を尽かした者たちばかりのギルドだから、この運営形態が一番納得できる形になっているためだ。


ヤカクもその一人、飄々とはしているが仕事には真摯に向き合う。だからこそ、ギルドメンバーの人となりを知るためにこうして喫茶店を経営しているのだ。

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