打つだけじゃない。
今日は部活2日目、みんなのやる気も出てきた。
「よぉ〜し。今日からマイラケットでうてるぞ〜」達也は意気込んだ。
自分も達也に見習って、午前に使い切ってしまったやる気をまた入れ直した。
「今日は早く行こうぜ」達也が自分にそう言った。
「そ、そうだね。昨日は集合が遅くなっちゃったからね……」
その時、顧問の先生が通りがかり、自分たちにこんなことを言う。
「先生はね、卓球は下手だけど、ガッツだけはあるんだ。先輩たちにも伝えたけれども、打つときはな、ガッツを持つんだ。そうすれば自分の中で熱く燃え上がる目標が出てくるはずだ。心の中で、自分を心を高めるんだ。高ぶらせることで、上へ上へ精進していけるんだぞ」
鈴木先生の言葉は何かガツンと来た。打てばもっと深く理解できるものがあるんだろう。それもまだ打っていなかったからわからなかったが。
今度は公平が教室の方へ戻って来ている。
「やっべ、キーパーグローブ忘れた」そんなことを言いながらスタスタと教室の方へ戻って言った。
「あいつ、焦ってたな。そういえば、あいつキーパーだったっけか」と達也はいう。
「ひとごとかよ。まあそうなんだけどな……そうそう、キーパーだったなー」
これがいつもの会話だ。
そもそも達也とはあまり親しくなかった。
でも、部活動を機に仲良くなりたいと思っている。
そんなこんなで少し急ぎ足で練習室に入った。
「こんばんわ!」二人で元気よく練習場に入る。
みんなはもう卓球台を出し始めている。二人も一緒になって台を出し始めた。
「ネットは、こうしてつけると……こんな感じでうまく止まるよー」部長が指示を出した。
それに応えるように自分たちもネットを張り始めた。
これで準備は整った。あとは打つだけだ。
そう思ってラケットを借りてみたはいいが、台はほとんど卒業間際の3年生や部長争いの2年生が使っていて、1年生の自分たちはまだ使えない。
練習場は広くもないし、場所もあまりいいとはいえないが、この空間の中で球つき、壁打ち、素振りをしなければならない。みんなでこの空間を使うのは難しそうだ。
今日の練習はほとんどの指示を部長から出ていた。いつもこんな感じなのか副部長に聞いてみることにした。
「すみません。先生は指示出さないんですか?さっき、先生からガッツの話をされたんですけど、鈴木先生ってうまくないんですか?」と、素朴な質問をぶつけた。
「自分は鈴木先生と打ったことはないけど、先生は卓球をしたことがないとは言ってたよ。もしかしたら、その話、先生の経験で語ってるんだろうね。こんな自分でも、自分には先生の言うことがわかったよ。多分、あれはすべてのスポーツに通づると思うよ」
そんな話をしてる間に、練習時間がかなり過ぎていた。今度台で打てるようなら、ガッツを意識して打ってみたい。そう思いながら、今日の練習はここで終わった。
達也と公平が教室にいたので、「また明日ね!」といって帰った。
もっとパチンパチンいってる練習場にいたかったかもしれない。練習場にいるのも先輩たちのうまいプレーが見れてためになる。
もっと研究しなきゃ……そう考えながら帰り道をぶらりぶらりと歩いてゆく。
「今日も疲れたなぁ……」
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