ゲームの世界に入ったと思ったら○○キャラだった!

みるくてぃー

第1話

あれ? どこだここ?

確か俺、さっきまでパソコンに向かってゲームしてたよな。


そうだ、俺は自分の部屋でエンドエンドファンタジー、通称EEFと言う人気のオンラインゲームをしていたはずだ。それなのにいつの間に外に出たんだ? それに何故街中で木々が生い茂っている? これじゃまるで……


「おい、なんだこれ!」

「なんでこんな所にいるんだ!?」


何だか周りが騒がしい、周りを見渡すが当然顔見知りなんて……は? 猫耳? あっちはちっちゃい子供? これじゃまるでゲームの……!!


「おいあんた、そんな姿じゃ風を邪引くんじゃないか?」

ものすごく嫌な考えが頭を過ぎった時、誰かが俺に話しかけてきた。


「えっ、あ、はい。……ん、姿?」

突然見ず知らずの人に声をかけられ同様してしまったが、俺の姿が何だって?


改めて自分の姿を見てみると……ブフッ、下着姿じゃん。

ちょっと待て、信じられないが仮にもしここがEEFのゲームの世界だとしよう。だったら俺は長い時間を掛けて育てたキャラ名レヴィンのはずだ。そりゃもうめっちゃ頑張ったよ、このゲームにハマっていた事もあってレアアイテムも沢山そろえた。


たしかにギルドメンバーではうっかりレヴィンさんと呼ばれていたが、それでも立派な赤色魔導師だったはず。

装備だって街中用のカッコイイ服と、狩用の戦闘服の2種類を常に持ち歩いていた。

つまり今の俺の姿はすくなくともその何方かのはずだ。それなに何故に女物の下着姿なんだ!?


「あんた、もしかし男か?」

「へ? いや見ての通り男だけ……あ、あぁーーーー!!! 倉庫キャラだ!!」

「あちゃー、あんたも運が悪いね。」


そうだ、思い出した。ギルドメンバーに合成素材を倉庫に取りに行くといって、キャラを変更したばかりだった。

ってことは今の俺は合成アイテムの倉庫として作ったサブキャラクターのクリステル!?


このクリステルは俺の倉庫で唯一の女性キャラ、いつもはメインキャラで硬派を気取っていたが、ついつい萌え萌えの女性用装備が実装されたことで、思わずつくってしまった若気の至り。

普段は合成アイテムを保管させておくようの倉庫キャラとしているため、初期装備は全て廃棄し、いつも裸(下着姿)で街中を歩かせているのだ。(アイテム欄を空ける為だからな!)


「でもよかったな、ハゲキャラとかじゃなくてただのネカマで。」

「あ、そうですね……ってちがう! 俺はネカマじゃねー。」

そんなことよりまず服だ服。いくら中身が男だからってこの姿はさすがに恥ずかしい。


えっとえっと、コマンドってどう出すんだ!

「あぁ、システムコマンドか? なんか右手を水平にスライドさせたら出るらしいぜ、俺もよくわからんが。」

「え、あ、ありがとうございます。」


なにかと親切な見ず知らずの人ありがとう。

俺は早速教わった通りの事をする。すると見慣れたウインドウが目の前に現れた。


アイテムアイテム、えっと、装備できるのが……ブフッ

『メイド服セット』『ゴスロリセット』『バニーセット』『ナースセット』どれを装備しましすか?


着れるかぁーー!!!


なんて事だ、すっかり忘れていたがこのキャラは萌え装備しか持っていなかった!

しかもこの装備って以前ネットの掲示板で、『あれはないよねーw』『うわ、あれはないわw』『運営何を考えて実装したんだ?』『今あの装備着ているキャラ発見ww』なんて広まったせいで、ずっと装備せずアイテム欄の肥やしになっていたのだ。


やばいやばい、この装備はさすがに着れない。だからといって他に装備があるわけじゃないし……そうだ、競売所で何かを買えば……ってこれ倉庫キャラじゃん! お金なんて持っているわけがない。メインキャラで大金持ちだったのに一気に貧乏かよ!


「もしかして装備持っていないのか?」

「そ、そう見たいです。」

言えない、萌え装備しか持っていないなんて言えるわけがない。


「あー、じゃ俺の持っているのあげようか?」

「えっ、いいんですか? でも俺お金もっていないし。」

「いや、別にお金はいいよ。どうせこのキャラじゃ装備できないし、暇つぶしに取ったイベントアイテムだから元値もかかってないし。」

神出現! 見た目はゴツいキャラだけど中身はなんて紳士なんだ。


「ありがとうございます! ありがとうございます!」

服があるってこんなにも幸せになれるんだ、今度から倉庫キャラにも服を着せてあげよう。


「じゃトレードを申し込むよ。」

「はい、お願いします。」


チロリン 『クロードよりアイテムを受け取ります』YES / NO

当然YES

『クロードよりアイテムを受け取りました』


「ありがとうございます! 早速装備させてもらいますね。」

えっと今もらった『メイド服セット』を装備っと。


………………えっ?

シャラン


聞きなれた装備変更の効果音と共に俺の服装が変更した。


「お、思ったより似合うんじゃないか? 防御力は全部位合わせても+3しかないが、噂では特殊スキルが付くらしいよ。」

「あ、あはは。あ、ありがとうございます。」

「それじゃ、頑張って。」

いい事した! って感じで颯爽と立ち去る彼を俺はただ眺める事しか出来なかった。



「うわぁ、あの装備って」

「だめだって、あれは見て見ぬ振りがいいんだって。」

「ないわー」

「俺初めてあの装備着ている奴見たぜ。」

「あれって絶対中身男だよ。」


ひゅーー。


だれかぁー、夢だといってくれぇーーー!!

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