全国模試1位だった俺は、顔面偏差値も上げようと決意しました。
阿礼 泣素
「パーフェクトヒューマアアアアン!」
「パーフェクトヒューマアアアアン!」
俺様、
小学生の頃のあだ名は完璧ロボット。
中学校のあだ名はエリート超人。
真面目で誠実で、欲しいものはすべて手に入れる。
そのための努力だって怠らない。だからこその完璧超人だ。
俺が大学受験をするときに、高校の先生に言われたことがある。
「某予備校によれば、天才ってのは五十万人に一人。センター試験に受けに来るやつの一人か二人程度しかいないんだとよ。」
――んで、お前はその一人の部類だ。
もちろん全国模試でもトップを獲ったことだってある。自分で言うのもなんだが、何でもできる人間だと断言して良いだろう。
だから俺はこうやって、大学で研究を続けている。黙々と自分のしたい研究ができる。実力があるから、力が認められているから。
だが、俺には唯一のコンプレックスがある。
――それは、顔面偏差値が低いことだ。
学力の偏差値が低かったことなんて一度だってない。だけど、この顔面偏差値ってのは生まれ持ってのものだ。だから簡単に塗り替えることも、上昇させることもできない。
将来大物になって、整形なりなんなりすればいいのだろうけど、庶民はそうはいかないだろう。俺はこの顔で生まれてきたときに、人の醜さを知った。人は顔で印象の八十パーセントを決めてしまう、なんて言葉があるように、俺と初めて出会い、俺の顔を見た人間は十中八九、嫌な顔をする。そして、その後の俺の経歴、俺に付随する情報の片鱗を聞くだけで態度が豹変する。なんと人間は愚かで醜悪な生き物なんだと幻滅する。
「だったらさ、最初そんな目で俺を見るなってーの」
テレビでメガネをかけた東大生を、変わった生き物を見るかのように蔑み、滑稽な眼差しで見つめる凡人たち。人間は異質性を嫌い、自分の理解の範疇を越えるものを排斥するということは知っていた。
しかし、彼らは仮にも東大に合格するという常人では成しえない偉業を達成している者たちなのだ。そう、普通の人では成しえないことをだ。(俺ならできるけど)だから、もう少し最初から良い思いをしてもいいのではないだろうか、最初から良い印象を持ってもらっても良いのではないだろうか? そう思うのだ。
俺はその差別にも似た、顔面偏差値による印象の是正、天才たちが不当な評価を受けないための研究をしている。
もちろん、才色兼備という言葉もあるように顔立ちも良く聡明な人間も存在する。だが、そんな人間は限られているのだ。
だからこそ、俺は研究をしている。そして、三年の研究を重ねた結果、顔面偏差値を上昇させることのできる薬を開発することに成功する。
今から語るのは、俺の研究レポートの一部である……
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