エルフの花屋さん#1
「こんばんは!」
閉店直前、わたしの営む花屋『花園』に夜だというのにもかかわらずとても元気なお客様がやって来た。
「いらっしゃい。夜なのに元気ね」
「これから楽しみなことがあるので」
世渡さんが営むよろず屋で働いているサファイアくんは頬を緩ませながらそう言った。
「楽しみなことがあるのにどうしてうちに来たの?」
「そんなの花を買うために決まっているじゃないですか」
「それはそうだけど」
「女性に会う時に花をプレゼントするのは男性として当たり前じゃないですか」
少なくともエルフの世界にそのような常識は無いし、サファイアくんたち魚人族にもそんな常識は無いと思う。
「サファイアくんはどんな花をご所望なの?」
「そうですね、バラを10本花束にしてください」
「はいは~い。ちょっと待っていてくださいね」
わたしはそそくさと10本のバラを見栄え良く花束にしてサファイアくんに渡した。
「ありがとうございます」
サファイアくんは料金をわたしの手に握らせると元気よく店を出て行った。
「ああいう男の子は苦手だなぁ」
わたしはつい本音をこぼしていた。
10月1日 ライラック
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