魔法使い見習いのカキ氷屋#11

「クシュンッ」


 真横から小さく可愛らしいくしゃみが聞こえて来た。


「ごめんね」


「風邪でもひきましたか?」


 僕はチョコにそう尋ねながら店の奥へ向かい、薬箱の中を調べた。


「お薬はいらないよ。少し肌寒いだけだから」


「それなら、良いけれど」


 薬箱を仕舞った僕は無造作に置かれていた桃色のカーディガンを手に取って店へと戻った。


「チョコ」


「あぷっ!」


 僕はカーディガンをチョコの顔にかぶせるように投げるとチョコは小さく可愛らしい悲鳴を上げた。


「少し肌寒くなってきましたし、カキ氷屋はそろそろ店仕舞いにしましょうか」


「そうだね。オーナーに相談してみようか」


 夕方、僕はオーナーに相談してカキ氷屋としての『メトロノーム』は来週で今年の営業を終了することになった。



9月13日 クッキー

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