忍びのパン屋さん#11

 わたしたちの仕事の中で最も大変な仕事は売れ残ってしまったパンの処理だった。


「さて、アキちゃん。最後の一仕事頑張ろうね」


「はい!」


 わたしとアキちゃんは売れ残ってしまったパンを一つずつ袋に入れて、袋詰めされたパンたちを持って店を出た。


「いつも通り20時30分に集合ね」


「わかりました」


 そう言ってわたしたちは二手に分かれた。


 忍びでパン屋というスキルを生かせない仕事を選んでしまったわたしだが、とんでもなく広いユグドラシルを僅かな時間で巡るのに忍びとしてのスキルはとても便利だった。


「こんばんは! パンはいかがですか?」


 わたしと忍びとしてのスキルをスポンジの如くグングン吸収しているアキちゃんは売れ残ってしまったパンを安価で買い取ってもらうため、今夜もユグドラシルを文字通り駆け巡っていた。



9月9日 シャープ

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る