妖狐のケーキ屋さん#3

「チョコのケーキと聞いてチョコが来ました!」


「いらっしゃい」


 随分と元気良く開店直後の店に飛び込んできたのはユグドラシルで占いの館『メトロノーム』と噂ではカキ氷屋を営んでいる魔女見習いのチョコちゃんだった。


「おほぉ! キリさん、キリさん! 美味しそうじゃないですかぁ!」


「チョコちゃん、チョコちゃんがこんなにもチョコレートケーキが好きだなんて知らなかったよ。試食用の一口サイズのケーキがあるけど食べる?」


「はい! 食べます。食べさせていただきます!」


「ちょっと待っていて」


 おれはそう言って厨房にある小さな冷蔵庫から試食用のケーキを取り出してチョコちゃんのもとへ持っていた。


「はい、召し上がれ」


「いただきます」


 チョコちゃんは丁寧に両手を合わせてそう言うと一口サイズのケーキを四等分にして四回に分けてケーキを味わっていた。


「けぷぅ、ご馳走様でした。今まで食べたチョコレートケーキの中で一番おいしかったです」


「それはありがとう」


 目をキラキラと輝かせるチョコちゃんにおれはそう返した。


「そうだ! クッキーくんにも食べてもらいたいのでこのチョコレートケーキを2個下さい」


 チョコちゃんはちゃっかり自分の分も買って帰った。


7月16日 キリマンジャロ

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