物陰のじいや#11
私は普段通りにいつもの物陰から可愛らしい孫を見守っていた。
「おっと!」
店で立派に働く孫と目が合いかけ、私は咄嗟に物陰へ隠れた。
「じいや」
年のせいなのか、私はそう呼びかけられるまで私の周囲で時間の流れが歪んでいたことに気が付かなかった。
「み、ミリン」
「私がどうしてここに居るのかわからないという顔をしていますね」
「あぁ」
わからないという事は無いが……。いや、やはりわからなかった。
「じいやの事ですから、方法がわかっていても想定外の事が起きてわからなくなっているのでしょう?」
まさにその通りだった。
「方法はじいやの想像の通り龍人族が使える時間の流れを変える力。使い方はソルトさんに少しずつ教わりました。そして、ここに来た理由」
可愛い孫は会話の主導権を私に渡すことのないまま言った。
「じいやにこんな物陰でこそこそと不審者の様に私の姿を見ていてもらいたくないからです」
可愛い孫の口から言い放たれたその言葉に私は膝から崩れ落ちた。
6月17日 ショウユ
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