悪魔の洋服屋#10

「さてと、こんな所かな」


 提出すべき書類も提出し終え、とうとう週末に行われる発表イベントを待つだけとなったオレは忙しさのあまり散らかしっぱなしとなっていた会議室の掃除を行った。


「まだ完璧とは言い難いが、こんな所か」


 発表イベント後もしばらくこの会議室を使うため荷物のほとんどはそのままとなってしまっているが、人に見られても恥ずかしくない程度には綺麗になった。


「綺麗になったところで掃除機でも……」


 そう思って部屋の角に無造作に集められた掃除グッズを見てみると、オレが自宅では使えないからと持って来たものの一度も使っていなかったロボット掃除機の箱が目についた。


「使ってみるか」


 今日まで使っていなかったのもオレが仕事で使う以外の機会に極端に弱いからなのだが使わないのももったいないと思い箱から出してみた。


「ユースケ?」


「ゼバか、お帰り」


「ただいま。で、何しているの?」


「使っていなかったロボット掃除機を使いたいと思ったんだが……」


「ちょっと貸して」


 説明書通りに充電までは完了したのだが、起動が出来ずに困り果てているとゼバは説明書も見ずにロボット掃除機のスイッチを押してロボット掃除機を起動し俺に対して哀れなものを見るような目を向けて自分の作業スペースに戻って行った。



6月12日 ユースケ

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