悪魔の洋服屋#3

「ゼバ!」


 一日の半分が終わろうとしている頃、オレはなんだか疲れ切ったような顔をして喫茶店に入ってきたゼバを手招きしながら呼び込んだ。


「ユースケ、わざわざボクを呼びだして何の用?」


「用が無くたって呼びだしても良いだろう。まあ、呼びだした理由はあるけどさ」


「ボクもユースケに聞いて欲しいことがあったから丁度良かったけど」


 ゼバはオレにそう言いながら向かいの席に座りコーヒーを注文した。


 そして、オレとゼバはそれぞれ自分のカバンを漁って1枚の書類をテーブルの上に置いた。


「ゼバ、これなんだけど」


「ユースケ、これを見てくれ」


 ゼバとオレがテーブルの上に置いたのはほとんど同じ文面の辞令書だった。


「あー、エンジェリーさんの代表者ってゼバなんだ」


「デビライズさんはユースケか」


 オレとゼバは同時に深い溜息を吐いた。ゼバの溜息の理由は恐らくオレと同じように、コラボ企画の内容と言われても何をすればいいのか分からないからまずはコラボ先の企業に勤める友人に相談しようと思って会ったはいいが相手も同じ悩みを持っていると察したからだろう。


「はぁ」


 息を揃えて溜息を吐いているとある音声が耳に入って来た。


『ラックアンラックの普通ラジオ』


 その音声が聞こえた途端、オレとゼバはひらめきに満ちた顔で顔を見合わせた。



4月24日 ユースケ

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